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特別支援学校の教諭になるには?免許の取得方法や向いている人も紹介

2024.11.07

カテゴリー:
肢体不自由な子どもを担当する特別支援学校の教諭

「特別支援学校の教諭免許はどうやって取得するの?」「自分は特別支援学校の教諭に向いているだろうか」と思う人もいるでしょう。

特別支援学校の教諭になるには、教諭普通免許状(幼稚園、小学校、中学校、高校のいずれか)に加えて、特別支援学校教諭の免許状が必要です。特別支援教育に関する専門科目を履修し、必要な単位を修得したあと、教員採用試験に合格する必要があります。

本記事では、特別支援学校の教諭の仕事内容や目指せる大学、向いている人の特長、年収などについて解説しています。

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特別支援学校とは

特別支援学校は、障がいのある児童生徒が社会で自立して生活できるよう、必要な知識や技能を学ぶ特別な教育機関です。

2007年4月の教育制度改革により、従来の盲学校、聾学校、養護学校が「特別支援学校」に統一されました。特別支援学校の形態はさまざまで、一つの学校内に幼稚部から高等部まで全ての部門があるところもあれば、高等部だけの学校もあります。児童生徒の年齢や障がいの特性、教育目標に合わせた柔軟な支援が可能となっています。

特別支援学校教諭になるには

手話で児童とコミュニケーションをとる特別支援学校の教諭

特別支援学校教諭になるには、通常、幼稚園、小学校、中学校、高校のいずれかの教諭普通免許状に加えて、特別支援学校教諭の免許状が必要です。

免許状には、専修(大学院修士課程修了程度)、一種(大学卒程度)、二種(短大卒程度)があり、専門性の高さが異なります。免許の種類による給与の差はないようですが、採用時の評価基準となることはあります。

取得後は教員採用試験に合格する必要があります。ただし、「当分の間」は幼・小・中・高の教諭免許状のみでも特別支援学校の教員になれる特例があります。

文部科学省の発表によると、令和4年度の公立特別支援学校教諭の採用倍率は2.4倍でした。これは小学校(2.3倍)とほぼ同等で、中学校(4.3倍)や高校(4.9倍)より低く、比較的なりやすい傾向にあります。なお、小・中学校等に設置されている特別支援学級では、通常の教員免許だけで勤務可能です。

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参考:資料7:特別支援教育に係る教育職員免許状について:文部科学省

特別支援学校教諭の免許状の取得方法

特別支援学校教諭の免許状を取得するには、まず基礎となる教員免許(幼稚園、小学校、中学校、高等学校のいずれか)を取得する必要があります。その上で、大学で特別支援教育に関する専門科目を履修し、必要な単位を修得します。卒業後、各都道府県の教育委員会に免許状の授与申請を行います。

大学で専門的に学ぶことが最も一般的な道筋ですが、将来の可能性として覚えておくと良い選択肢もあります。たとえば、一般の教員として働き始めてから、教育委員会主催の特別講習を受けたり、通信制大学で単位を取得したりして、特別支援学校教諭の免許を取得する方法もあります。

特別支援学校教諭の免許を取得できる大学・学部

特別支援学校教諭の免許は、主に教育学部や社会福祉学部、子ども学部などで取得できます。

令和5年4月1日現在の教員免許状を取得できる大学一覧|文部科学省

【特別支援学校教諭免許を取得できる大学の一例】

大学・学部・学科免許状の種類
立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科(東京都)知的障害者・肢体不自由者・病弱者
京都女子大学 発達教育学部 教育学科(京都府)知的障害者・肢体不自由者・病弱者
関西学院大学 教育学部 教育学科(兵庫県)知的障害者・肢体不自由者・病弱者
広島大学 教育学部 第一類(学校教育系)(広島県)視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱
筑波大学 人間学群 障害科学類(茨城県)視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱

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特別支援学校教諭の仕事内容

生徒とコミュニケーションをとる特別支援学校の教諭

特別支援学校が対応する障がいの種別は以下の5つです。

  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 知的障害
  • 肢体不自由
  • 病弱(身体虚弱)

参考:特別支援教育資料(令和4年度):文部科学省 (mext.go.jp)

教諭の仕事は、障がいに合わせた様々な工夫が求められます。たとえば、視覚障害のある生徒には点字を使った教材を、聴覚障害のある生徒には手話やイラストを活用します。教室では、車いすでも移動しやすいよう机の配置を考慮したり、体調に合わせて休憩時間を設けたりします。

日常生活のスキル向上も重要な任務です。着替えや食事、身だしなみなど、自立に必要なことを段階的に指導します。また、将来の就職に向けて職場体験などのプログラムも実施します。

医療関係者や福祉施設の職員と連携し、生徒の健康管理や放課後の過ごし方まで幅広くサポートします。教室内だけでなく、社会に出ても活躍できる力を育成することが、特別支援学校教諭の重要な役割となります。

特別支援学校教諭の年収

公立の特別支援学校の場合、そこで働く教員は地方公務員として扱われます。そのため、給与の水準は各自治体の規定によって決められており、地域ごとに差があります。

文部科学省が2022年に実施した「学校教員統計調査」によると、特別支援学校教諭の平均月給は、33万4,600円でした。ただし、この金額は国立・公立・私立を全て含んだ平均で、学校の種類によって実際の給与は変わります。

年収は、平均月給33万4,600円×12ヶ月=401万5,200円にボーナスや諸手当がついて、670万円前後です。専門的なスキルが必要なぶん、一般の学校よりも手当は若干多いようです。

参考:令和4年度 学校教員統計調査|厚生労働省

特別支援学校教諭のやりがい

特別支援学校教諭の仕事には、他の職業では得られない特別なやりがいがあります。まず、生徒一人ひとりの小さな進歩や成長を間近で見守れる喜びがあります。たとえば、初めて自分で靴ひもを結べた瞬間や、新しい単語を覚えた時の生徒の誇らしげな表情は、何物にも代えがたい感動を与えてくれます。

また、生徒が懸命に努力を重ね、それが実を結ぶ瞬間を共に分かち合える喜びも大きな魅力です。運動会で最後まで走りきった時や、文化祭で堂々と発表できた時など、生徒の成長を実感できる場面が数多くあります。

さらに、日々の生徒との心温まる交流から生まれる楽しさも、この仕事の大切な要素です。生徒との何気ない会話や、互いに励まし合う関係性の中で、教師自身も人間的に成長できるでしょう。

このように、特別支援学校教諭の仕事は、生徒と共に歩み、成長し合える、とてもやりがいのある職業です。

参考:障がい者について広く専門的に学んだことが、今の私の力になっている|インタビュー・座談会 卒業生に聞く、在学生が語る|「もっと、教師へ。」教師を目指すすべてのあなたへ|横浜国立大学教育学部。 (ynu.ac.jp)

特別支援学校教諭の大変なところ

特別支援学校の先生の仕事には、楽しいことがたくさんありますが、大変なこともあります。
まず、体力がけっこう必要です。たとえば、車椅子を使う生徒の介助や、常に目を離せない生徒の見守りなど、体を動かすことが多いです。休み時間も生徒と一緒に遊んだりするので、体力勝負の日々です。

次に、生徒の成長がとてもゆっくりで、なかなか目に見えにくいことがあります。普通の学校なら数日で習得できることも、何週間もかかることがあります。

そして、保護者の方々とのコミュニケーションも難しいところです。たとえば、生徒の課題を伝える際は本当に慎重になる必要があります。「〇〇くんは、まだひらがなが書けていません」と直接言ってしまうと、保護者の方を傷つけてしまうかもしれません。代わりに「〇〇くんは、形を真似して描くのが上手になってきました。これからひらがなの練習も少しずつ始めていきましょう」というように、ポジティブな面も一緒に伝えながら、今後の方針を示すことが大切です。

このように、特別支援学校の先生の仕事は体力も心も使う大変な面がありますが、その分やりがいも大きい仕事だと言えるでしょう。

特別支援学校教諭に向いている人

子どもの成長を喜ぶ特別支援学校の教諭

特別支援学校教諭に向いている人の特長は、以下のとおりです。

  • 柔軟な発想力と創造性を持っている人
  • 忍耐強く、小さな進歩を喜べる人
  • チームワークを大切にできる人

順番に解説します。

柔軟な発想力と創造性を持っている人

特別支援学校の先生には、柔軟な発想力と創造性が特に求められます。なぜなら、生徒一人ひとりの障がいの種類や程度が異なるため、「これが正解」という決まった教え方が通用しないからです。

たとえば、言葉の理解が苦手な生徒に対しては、イラストや写真、実物を見せながら説明します。また、歌やリズムを活用して内容を覚えやすくする工夫も行います。
また、生徒の興味や得意なことを活かして学習に結びつける工夫も大切です。電車が好きな生徒なら、駅名を使って地理を学んだり、車両の数で算数を教えたりと、生徒の「好き」を学びのきっかけにできます。

このように、既存の枠にとらわれず、生徒の特性に合わせて新しい方法を生み出せる人が、特別支援学校の先生に向いているのです。

忍耐強く、小さな進歩を喜べる人

特別支援学校の先生には、忍耐強さと小さな進歩を見逃さない目が大切です。普通の学校なら数日で習得できることが何か月もかかることがあります。しかし、あきらめずに粘り強く指導を続けることで、必ず成長は見られます。

たとえば、自分の名前を書けるようになるまで、何百回も練習が必要かもしれません。一画だけでも上手に書けたら、それは大きな前進。「まだ全部は書けないけど、この一画が書けたね!すごいよ!」と、小さな進歩を心から喜べる人が向いています。

また、言葉を話せない生徒が、初めてジェスチャーで意思表示できたときなど、一見小さな変化も、実は大きな成長のサインかもしれません。そんな瞬間を見逃さず、喜びを生徒と分かち合える人が向いています。

チームワークを大切にできる人

特別支援学校では、チームワークがとても大切です。生徒一人ひとりの障がいの種類や程度が異なるため、一人の先生だけでは対応しきれないことがたくさんあります。

たとえば、授業中に生徒が体調を崩したとき、一人の先生が付き添いながら、他の先生がスムーズに授業を続けられるよう、日頃から連携を取っておく必要があります。また、生徒の成長を支援するために、担任の先生だけでなく、養護教諭、スクールカウンセラー、作業療法士など、様々な専門家と協力することも多いです。

保護者の方々とも密に連絡を取り合い、学校での様子を伝えたり、家庭での対応について相談したりします。病院や福祉施設とも連携が必要になることもあります。
このように、多くの人と協力しながら生徒を支える仕事なので、コミュニケーション力が高く、チームワークを大切にできる人が向いているでしょう。

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特別支援学校の教諭になるには、通常の教諭免許に加えて特別支援学校教諭免許の取得が必要です。その後、教員採用試験に合格することで、教壇に立つ資格を得られます。

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