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給付型奨学金とは?制度の仕組みや支給条件、オススメ奨学金を紹介

2022.12.16

カテゴリー:
給付型奨学金で大学進学できることを喜ぶ高校生

奨学金とは、経済的な理由で進学が難しい人に対して、入学金や授業料などを給付したり貸したりして、進学をサポートする制度。そんな奨学金の中でも、返す必要がない「給付型奨学金」という制度があるのをご存じでしょうか?「大学に進学して学びたいけれど、保護者には負担をかけられない…」と悩む高校生にとって、給付型奨学金は助けになるはずです。
この記事では、給付型奨学金制度の仕組みや給付される条件のほか、給付型奨学金を運営する団体などをご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

給付型奨学金とは苦学生に支給されるお金

給付型奨学金とは、いわゆる返さなくてもいいお金です。これまでも、一部地方自治体や民間団体によって給付型奨学金は運営されていましたが、国は2017年度に「給付型奨学金」を、特に経済的に厳しい学生のために先行実施し、2018年度から本格的にスタート。2020年4月からは「高等教育の修学支援新制度(大学無償化制度)」が新設されて対象者が拡大したので、ニュースなどでこの名を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

ちなみに、国の給付型奨学金は、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が運営しています。この記事では、JASSO運営の給付型奨学金について主に説明します。
もし条件にあてはまる場合、金銭的な負担をかなり減らせる可能性があるので、まずは制度についてよく知っておきたいですね!

貸与型奨学金との違い

奨学金には、大きく分けて「給付型奨学金」と「貸与型奨学金」の2種類があります。「給付」は受け取ることであり、「貸与」は貸してもらうこと。つまり、給付型奨学金は受け取っても返す必要がなく、貸与型奨学金は返済が必要なのです。
返済の有無だけでなく、給付型奨学金と貸与型奨学金には下記のように、いくつかの違いがあります。

■給付型奨学金と貸与型奨学金の比較

 給付型奨学金貸与型奨学金
奨学金の返済必要なし卒業・修了後に返済義務あり
採用基準高い低い
採用人数少ない多い

ちなみに貸与型奨学金は、返済額に利子がつかない「第一種奨学金」と、利子がつく「第二種奨学金」に分かれます。利子がついた金額を返す第二種奨学金は、さらに返済利率(利子がつく割合)について2つのタイプに分類。返済終了まで利率が変わらない「利率固定方式」か、5年ごとに利率が変わる「利率見直し方式」のいずれかひとつを、奨学金申込みのタイミングで選ぶのです。

第一種奨学金、第二種奨学金の採用基準は、ともに「家計基準」と「学力基準」が設けられており、いずれも第一種奨学金(無利子)のほうが、ハードルは高くなっています。

給付型奨学金の仕組み

奨学金支給者に発行される奨学生証

 
給付型奨学金では実際のところ、どのような支援を受けられるのでしょうか。ここでは、給付型奨学金の仕組みについてご紹介します。

■給付型奨学金の月額上限(昼間制・夜間制、月額)

国公立大学

自宅自宅外
2万9,200円 (3万3,300円)6万6,700円

私立大学

自宅自宅外
3万8,300円 (4万2,500円)7万5,800円

出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)

※住民税非課税世帯の学生の場合

※生活保護世帯で自宅通学者、児童養護施設などからの通学者は()の金額

※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は3分の1または3分の2の金額

進学先の入学金・授業料が免除・減額される

給付型奨学金の審査に通って進学先の大学に申し込むと、入学金・授業料も免除または減額されます。免除か減額かは、世帯収入によって決まる仕組みです。
また、免除または減額される金額も、下記のように国公立大学・私立大学、あるいは大学・短期大学など、進学先によって変わります。

■進学先別の入学金・授業料の免除・減額例

国公立大学私立大学
入学金授業料入学金授業料
大学約28万円約54万円約26万円約70万円
短期大学約17万円約39万円約25万円約62万円
高等専門学校約8万円約23万円約13万円約70万円

出典:独立行政法人日本学生支援機構
※住民税非課税世帯の学生の場合
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は3分の1または3分の2の金額

給付型奨学金の支給対象校は決まっている

JASSOの給付型奨学金の対象校は、大学・短期大学で97.8%(2022年9月時点)です。
給付型奨学金の対象外となる大学は4校のみではありますが、すべての進学先が給付型奨学金を受けられるわけではないので、出願前に確認しておくと安心でしょう。

給付型奨学金の対象校は、下記のウェブサイトから確認できます。
給付型奨学金 対象校の一覧|文部科学省

給付型奨学金支給や免除・減額措置が受けられるのは大学入学後

大学に合格し、入学の意思を固めたら、通常は1〜2週間以内に入学金と前期分の授業料・施設設備費を支払う必要があります。支払わなければ入学の権利を失ってしまうので、必然的にこの限られたタイミングで支払うことに。必要な費用は、私立大学の文系学部で約120万円、理系学部で約160万円です。

ただし、これらの支出をカバーするはずの給付型奨学金支給や、入学金の免除・減額を受けられるのは、大学入学後。つまり、大学入学前の出費は、家計からやりくりしなければなりません。一時的とはいえとても大きな支出なので、事前準備が必要です。

申込み方法は2種類ある

給付型奨学金の申込み方法には、大学進学前に高校に申し出て手続きを行う「予約採用」と、大学に入学してから申し込む「在学採用」があります。2つの違いは下記のとおりです。

■給付型奨学金の申込み方法

 予約採用在学採用
申込み時期高校3年生の4月〜前期4月/後期9月
決定時期高校3年生の10月頃前期7月/後期12月
初回振込大学1年生の4月または5月前期7月以降(4月から対象)/後期12月以降(10月から対象)
申込み窓口在学中の高校在学中の大学など
その他進学先が未定でも申請可能予約採用で不採用だった場合でも申請できる

高校在学中に申込み手続きを始めるなら、まずは「自分は奨学金の対象となるか」を確認してください。

JASSOのウェブサイトが参考になるので、一度試してみてはいかがでしょう。
進学資金シミュレーター

自分が対象となるなら、下記のような手続きを行ってください。申込みは高校3年生の4月から可能です。

<高校生が予約採用で給付型奨学金申込みをするときの流れ>

  1. 高校で申込み書類を受け取る
  2. JASSOにインターネット申請
  3. JASSOへマイナンバー提出書の郵送
  4. 高校へ申込み書類の提出
  5. 採用候補者決定通知書を高校で受け取る
  6. 採用候補者決定通知書を進学先に提出(大学進学後)
  7. 奨学生として採用・通知

給付型奨学金のメリット・デメリット

給付型奨学金には、どのようなメリットがあるのでしょうか。デメリットと併せて詳しく見ていきましょう。

給付型奨学金を受給するメリットは返済負担がないこと

給付型奨学金の最大のメリットは、返済しなくてもいいお金を得られることです。学費や生活費を補うことができるため、過度なアルバイトをしてお金を稼ぐ必要がなくなります。生活に不安を覚えることなく、学業に専念できるでしょう。
また、大学卒業・修了後に毎月返済する貸与型給付金と違って、社会人になってからの負担がありません。社会人になって数年間は年収も高くないことが多く、特に一人暮らしなどであれば、毎月一定額の奨学金返済は、家計を圧迫しがち。最長で20年続く奨学金返済がないのは、大きなメリットといえます。

給付型奨学金を受給した際のデメリットは状況次第で打ち切られること

給付型奨学金は、そもそも学ぶ意欲の高い生徒が家庭の経済的な問題によって進学をあきらめないよう、サポートする制度です。ですから、大学入学後の学修意欲や態度については、厳しくチェックされます。きちんと講義に出席して、学業に励んでいれば問題はありませんが、出席率が低いなど学修態度に問題があったり、たとえやる気があっても成績が悪くて留年したりすれば奨学金を打ち切られてしまいます。継続して奨学金給付を受けるためにも、コツコツと学業に取り組むようにしましょう。

また、給付型奨学金の支給額だけでは、学費さえも全額まかなうことはできません。貸与型奨学金との併用は可能なので、第一種奨学金(無利子)の活用も検討するようにしてください。

給付型奨学金に必要な条件

勉強に励む苦学生

 
給付型奨学金の対象となるには、どのような条件があるのでしょうか。ここでは、給付型奨学金に必要な条件について確認します。

学業条件

給付型奨学金の申込みは、高校3年生のうち、あるいは大学に入学してからでも可能です。申込み時期によって、下記のように条件は異なります。

■給付型奨学金の学業条件

申請時期学力要件
高校3年生・高校在学時の全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上 ・学修意欲があること(レポートもしくは面談によって確認)
大学1年生・高校在学時の全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上または入学試験の成績が入学者の上位2分の1 ・高等学校卒業程度認定試験の合格者 ・学修意欲があること(学修計画書などを提出)
大学2〜4年生・大学在学中の平均成績(GPA)が上位2分の1 ・修得単位数が標準単位数(※)以上かつ学修意欲があること(学修計画書などを提出)

※標準単位数=卒業必要単位数÷修業年限×申請者の在学年数

世帯収入条件

給付対象になるかは、世帯収入に関しても条件があります。ひとつ注意してほしいのは、世帯収入には親の収入だけではなく、生徒本人の所得も含まれること。高校生であってもアルバイトなどで稼いだ収入が含まれるのです。
対象となる年収の目安としては、下記のとおりです。

<給付型奨学金の対象世帯年収の目安>
・第I区分:生徒本人と保護者(生計維持者)の支給額算定基準額(※)の合計が100円未満
・第II区分:生徒本人と保護者(生計維持者)の支給額算定基準額(※)の合計が100円以上2万5,600円未満
・第III区分:生徒本人と保護者(生計維持者)の支給額算定基準額(※)の合計が2万5,600円以上5万1,300円未満
※支給額算定基準額:課税標準額×6%-(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)で算出
出典:JASSO「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準

いずれも給付型奨学金の支給対象ですが、支援額は区分によって下記のように変わります。

■支援対象となる年収の目安と支援額の例

支援対象者年収の目安 両親2人と本人 (18歳)と中学生の場合年収の目安 両親2人と本人 (19〜22歳)と高校生の場合支援額
住民税非課税世帯~270万円~300万円満額
住民税非課税世帯に準ずる世帯~300万円~400万円満額の3分の2
~380万円~460万円満額の3分の1

出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)

支援区分はさまざまな条件によって変わります。支給額の目安は下記シミュレーターでチェックしてみてください。
進学資金シミュレーター

資産条件

採用の条件として、世帯資産の条件もあります。ここでいう「資産」とは、家庭にある現金や預貯金などのこと。土地などの不動産は含まれません。
世帯資産は、生計維持者(家計を担う人、原則として父母)と申込者(学生)が持つ資産の合計金額です。資産の基準額は、生活維持者が2人のときは2,000万円未満、1人の場合は1,250万円未満です。

大学進学時にオススメの給付型奨学金5選

給付型奨学金を支給する団体は、JASSOをはじめいくつかあります。自治体や民間企業などが給付型奨学金制度を設けているのです。最後に、オススメの給付型奨学金を5つご紹介します。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、旧日本育英会の流れを継ぐ代表的な奨学金事業の運営団体。国の直轄だけに、最も信頼性が高いといえるでしょう。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)

地方自治体の奨学金

地方自治体単位でも、給付型奨学金制度を設けていることがあります。月額1万〜5万円程度が支給されるケースが多いので、お住まいの自治体にもぜひ確認してみてください。
大学・地方公共団体等が行う奨学金制度

公益財団法人日本証券奨学財団

公益財団法人日本証券奨学財団は、証券業界が設立した財団です。「大学での専攻は問わない」「奨学金の返済義務はない」「卒業後の進路は自由」など、義務を課されないのがオススメのポイント。指定された大学30校のいずれかに在籍し、大学から推薦を受けることで応募可能です。書類・面接選考に合格すると、月額4万5,000円(自宅外通学者は5万5,000円)が支給されます。1年あたりの採用予定数は60名程度です。
公益財団法人日本証券奨学財団

公益財団法人キーエンス財団

計測機器などのメーカーである、キーエンスが設立した公益財団法人キーエンス財団。同財団の給付型奨学金は、4年制大学の新1年生(20歳以下)500名という大人数を対象に、在学中の4年間、月額8万円を支給してくれます。一次・二次選考ともに小論文の提出が必要ですが、進学先の大学・学部に指定がないのも特徴です。
公益財団法人キーエンス財団

一般財団法人トヨタ女性技術者育成基金

トヨタ女性技術者育成基金は、トヨタグループ9社が女性の技術者を支援するための奨学金制度。理系学部の女子学生を対象に、入学から卒業まで最長6年間サポートします。返済が必要な貸与型奨学金ではありますが、基金が支援する企業に入社すると、全額免除され返さなくても良くなるのがオススメのポイントです。

一般財団法人トヨタ女性技術者育成基金

給付型奨学金を獲得して自分の学びを得られる大学へ行こう!

「大学に進学して学びたいけれど、経済的な負担が心配」という高校生の皆さんにとって、大きな助けとなる給付型奨学金。金銭的なサポートを得られれば、大学でも安心して学べますよね。条件さえクリアすれば誰でも申込みができるので、気になる人はぜひJASSOなどの給付型奨学金をチェックしてみましょう!
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