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大学の受験料はいくらかかる?入学までの費用と効率的な受験のコツ

2022.12.28

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大学入試の受験票

大学受験において、第一志望校のほかに併願校の受験を考えている人も多いことでしょう。
ただし、併願校の受験にも受験料がかかります。受験会場が遠方になる場合には、さらに交通費や宿泊費も必要です。しかし、受験料・入学金の総額は、受験生の居住地や受験方法によってばらつきが生じます。
この記事では、大学受験にかかる受験料・入学金や交通費などの費用と、入学までにかかる費用のほか、効率的な受験のコツをご紹介します。

大学の受験料はいくらかかる?

日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」によると、併願校受験も含めた大学受験時の費用は、およそ28万~32万円とされています。ここでは、大学入学共通テストや国公立大学、私立大学などの受験料についてご紹介します。

大学入学共通テストの受験料

大学入学共通テストは、2教科以下は1万2,000円、3教科以上は1万8,000円と、受験教科数によって料金が異なります。受験後に成績通知書が必要なときには、上記の受験料に加えて800円が必要です。
注意したいのは、追加の800円を払っても成績通知書がすぐに手元に届くわけではないこと。成績通知書到着は、その年度の大学受験が終了した4月以降です。

国公立大学の一般選抜(二次試験)受験料

国公立大学の一般選抜(二次試験)の受験料は、約1万7,000円です。二次試験は、前期・後期(公立は一部中期も)と実施されますが、受験するたびに受験料を支払う必要があります。

私立大学の一般選抜受験料

私立大学の一般選抜の受験料は、約3万5,000円です。同じ大学内で違う学部を受験する「学内併願」のときも、学部ごとに受験料が必要です。ただし、2学部以降は受験料が割引になる制度を設けている大学もあります。私立大学の中でも注意したいのは、医学部や歯学部などの学部。およそ約4万~6万円と受験料が高くなります。
最近、私立大学において採用が増えている「大学入学共通テスト利用入試」では、受験料は約1万5,000~2万円が相場。大学入学共通テスト利用入試は、別途試験を受ける必要がないだけでなく、私立大学の一般選抜よりも受験料が安いため、保護者としてもちょっと助かりますよね。

総合型選抜、学校推薦型選抜の受験料

一般選抜よりも早い時期に入試を行うのが、総合型選抜と学校推薦型選抜です。これらの受験料は、国公立大学では約1万7,000円、私立大学では約3万円です。
総合型選抜と学校推薦型選抜については、下記の記事も参考にしてみてください。

総合型選抜とは?一般・AO入試との違いや受験メリットを解説

学校推薦型選抜とは?公募・指定校推薦、総合型選抜との違いを解説

下記に、試験ごとの受験料をまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。

■試験ごとの受験料

大学入学共通テスト3教科以上受験:1万8,000円
2教科以下受験:1万2,000円
成績通知書:800円
国公立大学 一般選抜(二次試験)約1万7,000円
国公立大学 総合型選抜約1万7,000円
国公立大学 学校推薦型選抜約1万7,000円
私立大学 一般選抜(個別試験)約3万5,000円
私立大学 一般選抜(医学部等個別試験)約4万~6万円
私立大学 一般選抜(大学入学共通テスト利用入試)約1万5,000~2万円
私立大学 総合型選抜約3万円
私立大学 学校推薦型選抜約3万円

受験料以外の費用はいくらかかる?

遠隔地の大学(京都大学)

 
大学受験においては、受験料以外にも必要となる費用があります。何にどれぐらいかかるのかをご紹介しましょう。

願書代

大学受験では試験を受けるために出願が必要となりますが、その際に提出するのが願書(出願に必要な申請書)です。国公立大学や多くの私立大学では願書は無料ですが、一部の私立大学では願書を購入する必要があります。有料の願書は、購入するのに300~1,500円はかかります。
近年はインターネット出願(ウェブ出願)を採用する大学も増えています。ウェブ出願ならば、願書代はかかりません。また、オープンキャンパスや入試説明会で願書を無料配布していることも。

しかし、紙・ウェブの出願いずれも、高校が作る調査書・各種証明書などの書類を出願先へ郵送する必要があります。高校によっては、調査書などの書類発行にお金がかかるケースもあるでしょう。事前確認はお忘れなく!

交通費

受験当日には受験会場までの移動が必要です。当然、交通費がかかります。自宅から受験会場までの距離が近かったり、地方入試会場があったりすれば大きな負担にはなりませんが、遠方で現地入試しか行われないなら、新幹線・飛行機などの利用が必要となり、交通費は跳ね上がるでしょう。新幹線利用の場合の交通費の目安は下記のとおりです。

■受験会場までの交通費の目安(新幹線利用の場合)

区間往復交通費(通常料金)
東京駅~新大阪駅約3万円
東京駅~名古屋駅約2万2,000円
新大阪駅~名古屋駅約1万3,000円
新大阪駅~博多駅約3万円

早めに新幹線や飛行機のチケットを購入すると、「早特」や「早割」で大幅に安くなるケースも。出願後は、なるべく早く交通機関のチケットを手配するのがオススメです。

宿泊費

自宅から受験会場までが遠距離の場合、受験当日移動は交通機関遅延などのリスクがあります。その際に備えて、前泊をするための宿泊費が必要です。
受験前日に移動して、受験会場近くのホテルに前泊するのが一般的。複数の大学を受験するとき、試験日程を調整して宿泊日数をできるだけ少なくすることも可能です。
受験シーズンに「受験生割引プラン」を用意しているホテルもあります。しかし、予約がすぐに埋まってしまうので、受験日程が決まり次第、できるだけ早くホテルの予約をするようにしましょう。

併願校の入学金

受験して合格した併願校に対する入学金も必要です。大学・学部によって異なりますが、入学金の相場としては20万~30万円。6校以上の大学を受けることが多い大学受験では、第一志望校の試験日や合格発表を待たずに、併願校の入学金の振込期限がやってくるケースが往々にしてあります。第一志望校が国公立大学の場合は、合格発表は3月以降。それまでに私立大学の併願校の入学金振込期限が来てしまうのです。

「併願入学金を払わなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、入学金を期日までに納めなければ、入学する権利を失ってしまいます。第一志望校の受験が終わっていない段階なら、入学の権利を維持するために併願校の入学金を払う必要があるでしょう。

くれぐれも注意したいのは、一度支払った入学金は返金されないこと。併願校の入学金も必要経費として見込んでおく必要があります。ただし入学金の支払いを待ってくれる大学もあるので、興味のある方は下記の記事を参考にしてください。
入学金を待ってくれる大学はある?進学費用を低く抑える方法

受験から入学までの費用

大学に合格したとして、入学までにかかる費用はどのくらいになるのでしょうか。東京地区私立大学教職員組合連合が2021年度に行った調査によると、私立大学に通学する学生のうち、自宅通学者は約161万円、自宅外通学者は約223万円でした。

■大学受験から入学までの費用

費用内訳自宅通学自宅外通学
受験費用25万3,300円25万4,000円
家賃6万6,700円
敷金・礼金23万5,300円
生活用品費32万700円
初年度納付金(※)135万7,080円135万7,080円
合計161万380円223万3,780円

※初年度納付金は文部科学省「令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員一人あたり)」による

※初年度納付金のうち、授業料は年2回(前期と後期)に分けて大学に納付

出典:東京私大教連「私立大学新入生の家計負担調査2021年度」(2022年4月6日)

自宅外通学者はアパートやマンションを借りることから、自宅通学者と比べると60万円程高くなります。一人暮らしを考えている受験生の方は、こちらを参考に保護者の方と検討してくださいね。

大学受験にかかる費用を抑える方法

 
大学受験にはさまざまな費用がかかりますが、費用をできるだけ低く抑える方法はないのでしょうか。最後に、大学受験にかかる費用を抑えるための方法をご紹介します。

受験する大学を絞り込む

大学受験では、基本的に併願校が多ければ多いほど、受験料がかかります。そのため、受験する大学や学部を厳選した上で受験する方法があります。併願校を減らせばその分、受験料やそれに伴う費用も低く抑えられるでしょう。

とはいえ「受験料をかけたくない」という理由だけで、併願校を無闇に減らしたり、受けなかったりするのはオススメできません。試験会場の雰囲気に慣れたり、合格して自信を得られたりするといったメリットも多いものだからです。
もちろんお金がかかる以上、併願校が多ければいいわけでもないので、併願のメリットと受験料、「自分が学びたいことが学べるか」といったバランスをよく考えて、受験する大学は6校程度に厳選するようにしてください。
併願先を厳選する方法については、下記の記事を参考にしてくださいね。
併願とは?大学受験で失敗しない併願先選びや注意点を解説

大学入学共通テスト利用入試や学内併願割引を活用する

私立大学の受験料を低く抑える方法に、大学入学共通テスト利用入試の活用が挙げられます。大学入学共通テストは、全国およそ700ヵ所で実施する試験のため、自宅周辺で大学入学共通テストを受けて出願すれば、遠方にある大学の試験会場で受験する必要はありません。交通費や宿泊費が必要なくなるのはうれしいですよね。

大学によっては、文学部と社会学部など、複数学部を受験すると割引が適用される受験料割引制度「学内併願」を設けていることがあります。志望校や併願校に割引制度があるか、募集要項をチェックしてみましょう。

効率的な併願をする

併願校の受験においては、効率的な受験が重要です。併願校は「自分の得たい学び」を第一に考えて選ぶべきですが、受験日程や受験会場があまりにバラバラだと、交通費と宿泊費ばかり多くかかり、精神的・身体的負担も大きくなります。併願校は受験日程や受験会場ができるだけ近い大学を選び、移動をできるだけ少なくするのがオススメです。
また積極的に活用したいのが、大学のキャンパス以外に試験会場を設けて行われている地方入試です。志望校や併願校があなたの地元や近隣の都市で受験できないか、ウェブサイトでチェックしてみましょう!

受験前日に親戚や友人の家に泊めさせてもらう

受験時の宿泊費が1泊につき8,000~1万円だとした場合、3校受験すると2万4,000~3万円もかかってしまいます。そこで、受験会場から近いエリアに住む親戚や友人がいて前泊させてもらえるなら、ある程度は宿泊費を抑えられるでしょう。
受験前日に初めてのホテルに泊まるより、親戚や友人の家のほうが安心して過ごせて、リラックスして試験に臨めるメリットも!

受験料を払って受けるべき大学をしっかり決めよう

大学に入学する前にも、受験料や併願校の入学金などが必要になります。あらかじめ、どのくらいの費用がかかるのかわかっていれば、家庭でも準備がしやすくなるはずです。
もし、あなたの保護者が受験料・入学金などの入学前のまとまったお金を準備するのに困っていたら、教育ローンの利用がオススメです。大学入学前から受験費用の借入れができる上、大学在学中は金利分の支払いのみで、大幅に家計に対する負担を軽くできるでしょう。

詳しくは下記の記事で紹介しています。ぜひ確認してみてください。
教育ローンとは?奨学金との違いやメリット、契約時の注意点を解説

ただし、受験料などお金の問題は重要とはいえ、大学選びで何より重要なのは、志望校も併願校も「自分が得たい学びがそこで得られるか」。その観点で進学先はしっかり考える必要があります。
ぜひ下記の記事も参考にして、あなたの進むべき道を選んでくださいね。

大学の選び方と選ぶポイントとは?高校生が後悔しない進路選択

大学の学部をどうやって選ぶ?学部別に学ぶ内容と主な就職先を紹介

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