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情報工学とは?プログラミングとの違いや種類、活用できる職業を解説

2023.09.12

カテゴリー:
さまざまなデバイスで情報処理を行う情報工学

情報工学とは?プログラミングとの違いや種類、活用できる職業を解説

皆さんの身の回りには、スマートフォンやアプリなど、情報工学の技術によって成り立っているものが数多くあります。情報工学とは、最先端技術を活用して新たな製品を作り出す学問のことです。近年ではAI(人工知能)の開発やドローンの活用などに大きな注目が集まっているので、情報工学に興味がある人も多いのではないでしょうか。
本記事では、情報工学の内容やプログラミングとの違い、活用事例について解説します。併せて、大学で学べる情報工学の種類や、情報工学を学べる学部、活用できる職業も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

情報工学とは、コンピューターの技術を学び、新たな製品を生み出すための学問

情報工学とは、コンピューターの技術を学び、新たな製品を生み出すための研究をする学問です。パソコンやスマートフォンなども含め、コンピューターは私たちの生活になくてはならない存在になりました。例えば、電車や自動車、家電など、あらゆるものにコンピューターが搭載されています。
最近では、「スマート家電」といわれるスマートフォンと連携して遠隔操作ができるような家電も登場。これらのようなコンピューター技術を利用した新しい商品は、情報工学によって生み出されたものです。

また、スマートフォンのアプリやゲームなどのソフトウェア開発、ロボットの開発、AI開発・活用などにも、情報工学の技術が活用されています。
情報工学を学ぶメリットとしては、下記の3つが挙げられます。

<情報工学を学ぶメリット>
・最先端技術について研究できる
・ITスキルやAIの知識を身につけられる
・ITスキルやAIを活用する業界への就職に近づける

コンピューターやITの最先端の技術に興味がある人は、情報工学を学ぶのがオススメです。

情報工学とプログラミングの違い

プログラミングとは、コンピューターが意図した動作をするように順番に指示を記載する作業のことです。皆さんが使うスマートフォンやアプリは、プログラミングによって便利な動作ができるのです。
しかし、指示を日本語で書き込んでも、コンピューターは理解できません。コンピューターへの指示は、「Java(ジャバ)」「C++(シープラスプラス)」といったプログラミング言語で行います。
このプログラミングは、情報工学という学問を活用するためのスキルのひとつ。実際に情報工学における学びは、プログラミング言語の基礎の習得から始まることが多いでしょう。

情報工学が活用されている事例

畑で活用されるドローン

情報工学は、さまざまな分野で活用されています。代表的な情報工学の活用事例としては、下記の4つが挙げられます。

AI

近年、私たちの生活を便利にする技術として注目されているのが、AIの技術です。例えば、自動車の自動運転は、AI技術によって対向車・通行人・標識などを車載カメラで認識し、障害物を避ける、ブレーキを踏むといった動作を人の代わりに実行しています。ほかには、お掃除ロボットや非接触検温などもAI技術の賜物です。

さらに、汎用人工知能といわれる、さらに高度なAIの開発が期待されています。汎用人工知能は、「うれしい」「悲しい」などの感情も理解し、人間と同じように行動できる技術。
まだ実現していない技術ですが、いずれアニメに出てくるようなパートナーロボットが作られ、家にやってくる日が来るかもしれませんね。

ドローン

ドローンを活用してより良い社会を生み出すのも情報工学の分野です。ドローンというと、テレビ撮影などの空撮のイメージが強い人もいるかもしれませんね。ほかにも、下記のような用途で活用できます。

<ドローンを活用できる場面>
・農業:農薬などの散布、収穫
・物流:過疎地や離島などへの輸送
・警備:不審者や行方不明者などの撮影、私有地の監視
・災害調査:人が立ち入れない危険な災害現場の被害状況の把握、生存者確認

上記のうち、農業や災害調査ではすでに実用化されており、物流や警備では実証実験が行われています。ドローンの活用は、今後さらなる発展が期待される分野といえるでしょう。

ロボット

ロボットは、工場や物流拠点、医療福祉、店舗など、さまざまなシーンで導入が進んでいます。ロボットの製造には情報工学だけでなく、「機械工学」「電子・電気工学」も関わっています。ロボットの構造設計や素材開発などを機械工学が担当し、ロボットの脳にあたるコンピューター(ハードウェア)を開発するのが電子・電気工学で、その脳で動作させるソフトウェアの開発を情報工学が担うのです。ロボットのソフトウェアは、プログラミングを使って開発します。
ロボット開発の中でも、遠隔で手術ができる医療ロボットや人と会話できる介護用ロボットなど、AIを搭載したものの開発・活用が期待されています。

工業製品(パソコン、自動車、家電など)

パソコンだけでなく自動車や家電などにもコンピューターが搭載され、さまざまな製品開発に情報工学が役立っています。IoT(Internet of Things)家電と呼ばれる冷蔵庫や洗濯機、調理家電などを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
IoT家電とは、インターネットとつなぐことで、遠隔で操作したり、後から機能を追加したりできる家電のこと。さまざまな製品開発に情報工学の研究が活用され、私たちの生活をより便利にしています。

大学で学べる情報工学の種類

プログラムのソースコード

大学で学べる情報工学は、主に「情報工学」「情報システム工学」「情報通信工学」の3種類です。それぞれ、下記のような特徴があります。

情報工学

情報工学の特徴は、コンピューター全般の研究を行うことです。全分野が研究対象になるため、コンピューター制御や組み込み設計などを学ぶハードウェアの分野から、プログラミングやネットワーク演習、アプリケーション開発を習得するソフトウェアの分野まで情報工学の対象になります。座学だけでなく演習も交えて学習するため、実践的なスキルを身につけられるでしょう。また、数学や物理学、英語などの基礎科目も学び、情報工学をスムーズに理解するための知識を養います。

情報システム工学

情報システム工学は、情報の収集・処理・伝達を行うシステムを効率的に構築・運用する方法を学ぶ学問で、プログラミングやソフトウェア開発、データサイエンスなどが研究の対象です。
AIやロボット制御などの最先端技術を学べる場合も多く、これからの社会で役立つ多くの知識を身につけられます。

情報通信工学

情報通信工学では、送信者から受信者に情報を伝えるための技術の研究を行います。ネットワーク・ワイヤレス通信・光ファイバーといった技術や、プログラミング・電気回路など、ハードウェアとソフトウェアの区別にとらわれずに、情報の伝達と処理に関する知識を学ぶことが特徴です。

情報工学を学べる学部

情報工学は、主に下記のような学部で研究されています。ほかにも、大学によってさまざまな名称の学部で研究対象にしているので、下記のような名称がない大学でも、情報工学を学習できる学部がないか確認するのがオススメです。

<情報工学を学べる学部>
・情報理工学部
・情報工学部
・工学部
・理工学部
・情報学部
・システムデザイン工学部

また、情報工学を学べる主な大学の例としては、下記の6校を挙げることができます。同じ「情報工学」であっても、大学によって授業の特色や強みが異なります。大学を選ぶときには必ず、それぞれの学部・学科でどのようなことを学べるかを確認しましょう。

<情報工学を学べる主な大学>
慶應義塾大学 理工学部 情報工学科(神奈川県)
芝浦工業大学 システム理工学部 機械制御システム学科(埼玉県)
拓殖大学 工学部 情報工学科(東京都)
法政大学 理工学部 電気電子工学科(東京都)
立命館大学 情報理工学部(2024年度より大阪府)
福岡工業大学 情報工学部(福岡県)

「スタビキ」で情報工学についてもっと知ろう

スタビキは大学でどんな研究をしているか調べられるサービスです。

「情報工学」で検索すると「機械学習」や「認知科学」などより詳細な研究テーマが表示されます。じぶんがどんな研究テーマに興味があるのか、それをどの大学で学べるのかわかります。ぜひ使ってみてください。

情報工学を活かせる職業

サーバールームで働くネットワークエンジニア

情報工学の知識を活かせる職業は非常に多岐にわたります。そのすべてを解説することはできないので、ぜひ下記の記事を閲覧してみてください。ここでは一例として、下記の4つをピックアップしました。

ITに関わる仕事はどのような種類がある?仕事の内容と主な職業

データベースエンジニア

データベースエンジニアは、データベースを設計・開発・運用する人のことです。データベースとは、顧客の氏名、商品の型番、価格といった膨大なデータが蓄積される保管場所のようなもののこと。エンジニアは保管場所を作るだけでなく、必要なときに必要なデータをすぐに取り出せるように設計・開発する必要があります。

また、保管場所は大きすぎず、小さすぎないように作らなければなりません。小さすぎれば、データがあふれてすぐに保存できなくなってしまうのは、想像しやすいのではないでしょうか。
反対に、大きすぎるものも、無駄なコストがかかるので避ける必要があります。利用者にとって使いやすいデータベースを設計・開発して、業務効率化に貢献するのが、データベースエンジニアの仕事なのです。効率的なデータベースシステムの構築には、情報工学の知識が役立ちます。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアとは、コンピューターネットワークが使える環境を構築したり、安定して運用できるようサポートしたりする人のこと。普段、皆さんが何気なく使っているインターネットやアプリは、ネットワークが安定しているからこそ利用できるものです。ネットワークが使えなくなったら一大事なので、「使えて当たり前」の状態を維持しなければなりません。

ネットワークエンジニアは、最適なネットワーク機器(ルーターなど)や回線を選定し、安定して利用できるネットワーク環境を構築します。また、トラブルがあったときには、すぐに原因を突き止めて復旧するのも仕事です。そのため、情報工学の知識は欠かせません。インフラであるネットワークの構築・運用保守を行うネットワークエンジニアは、やりがいのある仕事のひとつといえるかもしれませんね。

ソフトウェア開発者

パソコンやスマートフォンで利用するアプリケーションなどを開発するのが、ソフトウェア開発者です。プログラミング言語の知識が必須になるため、情報工学で学んだ知識やスキルを使って活躍できるでしょう。
また、近年の日本では、ソフトウェア開発者が不足しています。そのため、ソフトウェア開発者を目指して勉強や就職活動を進めると、将来は引く手数多の人材になれるかもしれません。

起業家

ITやAIの専門知識を活かせば、起業することも視野に入れられます。近年、ITやAIは世界で注目を集めており、今後も市場は拡大すると予想されています。世の中に受け入れられるような起業目的やアイディアがあって、うまく資金調達できれば、新しい事業を起こせるはずです。
しかし、専門知識や経験が豊富だからといって、企業経営がうまくいくとは限りません。起業の際には、経営学についても学んでおくのがオススメです。

「起業家になるためのステップなどがわからない」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
起業家になるためのステップは?向いている人やおすすめの学部

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情報工学は、最先端の技術を使って新たな製品を生み出す、魅力的な学問です。しかし、情報工学で学べる知識は幅広く、大学によって学べる内容も異なります。
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