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家電業界とはどんな業界?職種・仕事内容や働く魅力をチェック!

2024.04.02

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家電業界は、私たちの生活に身近な生活家電の生産・販売を担う業界です。広告などでも、メーカーの名前を耳にする機会が多いでしょう。そのため、家電やものづくりが好きな方の中には「家電業界で働きたい」という方も多いはずです。
家電業界には、生産に直接関わる職種以外にもたくさんの業務があります。この記事では、家電業界の特徴や「JOB-BIKI」で調べられる企業の例、主な職種、おすすめ学部などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

家電業界の魅力や代表的な企業の例

家電業界には、どんな特徴があるのでしょうか。ここでは、家電業界の基礎知識や働く魅力、代表的な企業の例をご紹介します。

家電業界とは?

家電業界とは、テレビや冷蔵庫など、私たちの身の回りにある生活家電の生産・販売に携わる業界です。一般的には、電気製品を扱う電気業界の1分野として考えられています。家電業界に属する企業は、取り扱う商品によって以下の2種類に分類可能です。
・総合家電系
・特化型系
総合家電系の企業は、生活家電の種類を問わず、幅広く生産・販売しています。例えば株式会社日立製作所は、キッチン家電や調理家電、美容家電など幅広く扱っているのが特徴です。一方、特化型系はある特定の家電に特化し、その商品だけを扱っています。例えば株式会社富士通ゼネラルは、空調機械(エアコン、加湿除菌脱臭機など)の家電に特化しているのが特徴です。1つの商品を専門的に扱うことで、他企業との差別化を図っています。

次に、家電業界の動向を見ていきましょう。経済産業省の統計によると、2022年の白物家電(冷蔵庫・洗濯機・炊飯器などの家電)の売上は、前年より12.3%増えていました。白物家電の売上は、2014年以降は横ばい状態が続いており、継続して購入されていると考えられます。

この傾向は、家電を販売している家電量販店業界でも同様です。家電量販店業界については、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。

家電業界で働く魅力

デザイン性の高いキッチン家電

家電業界は「自分が関わった商品が、人々の生活に根付いている」と実感できることが魅力です。家電業界が生産・販売に携わっている生活家電は、私たちの生活に欠かせないものとなっています。そのため、自分の生活はもちろん、友人や家族の生活に自分が関わった製品が使われていた場合も、やりがいを感じられるでしょう。
また、人々の反応が見えやすいことも魅力です。生活家電を使用する人数は多いため、ヒット商品などを世に出した時は家電量販店やインターネット上の評判など、あらゆる場所で人々の反応を見られます。そのぶん、大きな達成感も得られるはずです。

家電業界の代表的な企業の例

株式会社日立製作所
三菱電機株式会社
ソニー株式会社
パナソニック株式会社

家電業界の中でも「総合家電系か特化型系なのか」の違いや「家電以外の業界へも幅を広げているか」の違いによって、企業ごとの特色は異なります。
例えば、業界シェア率の約15%を獲得している「株式会社日立製作所」は、取り扱う家電の種類が多いことが特徴です。デジタル技術を活用した家電の開発・生産などにも取り組んでいます。さらに、家電業界だけでなく、重工業業界や建設機械業界などへ事業展開していることも強みです。重工業業界や建設機械業界における株式会社日立製作所の詳細については、以下の記事もぜひ参考にしてください。


他にも「三菱電機株式会社」には「企業向けの電気製品を得意としている」といった特徴があります。例えば、店舗やオフィス・工場向けのLED照明器具がその一例です。企業向け製品にて培ったノウハウを、家電製品の開発・生産に活かせることが強みといえるでしょう。家電製品の種類も、幅広く取り扱っています。


「ソニー株式会社」は「世界初」や「世界最小」などの実績をもつ企業です。例えば、1982年には、世界初のコンパクトディスクプレーヤー「CDP-101」を発売しています。現在ではとくに、カメラのような家電で高い評価を得ているのが特徴です。


「パナソニック株式会社」は、生活家電や美容家電など、さまざまな製品を作っている企業です。またインターネット技術を取り入れることで利便性を上げた、最新IoT家電の開発にも力を入れています。

家電業界に興味があるものの、進学先の具体的なイメージが湧かないという場合は「JOB-BIKI」の活用がおすすめです。「JOB-BIKI」の「就職先検索」で企業名を入力すると、その企業の情報や就職した先輩たちの出身大学を調べられます。就職に有利な大学・学部を探したり、何を勉強すべきか考えたりするためにも、有効活用できますよ。

家電業界の職種

家電メーカーのエンジニア

家電業界の仕事には、具体的にどのような職種があるのでしょうか。ここでは、家電業界のおもな職種についてご紹介します。

事業企画

事業企画は、今後の家電販売の事業戦略を考える仕事です。具体的には、社内外の研究機関と連携し、市場やお客様が「どのような製品を求めているのか?」を分析します。その分析を踏まえ「今後、売上を伸ばすためにはどのような製品を生み出すべきか?」「どういう戦略でビジネスを展開するか?」を企画することが主な業務です。家電業界に属する企業が総合家電系と特化型系に分かれているのも、こうした事業戦略の1つであるといえます。他にも、家電の売上において横ばい状態が続いていることを踏まえ、今後は海外展開や企業向け商品を充実させるなどの対策が必要となってくるでしょう。事業企画という職種には、今後も長く家電を販売していくためのアイディアが求められています。

研究開発

新技術の研究や、新製品の開発を行う仕事です。研究対象は、特定の素材や技術、新しいシステムなど、多岐にわたります。その中から今後、どのような家電を生み出すべきか、また新しい家電製品の開発に必要な研究を選別し、実現化することが目的です。研究開発職は、さらに細かく「基礎研究」と「応用研究」に分類される場合もあります。基礎研究は、事業展開が期待できそうだったり斬新な家電製品の根幹となったりするような技術を研究する仕事です。一方、応用研究は、基礎研究で得た結果を実際に製品化・事業化するための研究を行います。例えば、三菱電機株式会社の応用研究部門にて進められている、既存の空間制御の技術を活かしたより良い環境の構築のための研究です。その場にいる誰もが快適に過ごせるような、風量や気流を調整する制御システムの構築を目指し、研究が進められています。研究開発は、こうした空間制御の技術や制御システム構築の研究を行う職種です。

設計開発

研究開発で得た技術などをもとに、具体的に製品へ落とし込んでいく仕事です。最初に基本的な仕様や価格などを設定し、それにしたがって細かい部分を設計します。例えば、設定した価格内に抑えるために「どのような材料を使うべきか?」などを考えることも、設計開発の業務です。家電製品の種類や部材によって、必要となる知識は異なります。そのため、設計開発の中でも「機械設計」や「電気設計」というように細かく分けられ、それぞれのプロフェッショナルが担当するケースがほとんどです。また、これらのプロジェクトがスムーズに進行するよう、全体のスケジュール管理も設計開発が担います。

システムエンジニア

お客様の家電に対する要望を叶えるため、家電に組み込むシステムを企画・設計・開発する仕事です。最近では、インターネット技術を取り入れて便利にしたIoT家電の需要が増えており、システムエンジニアの活躍の場が広がっています。IoT家電の開発ならばインターネットシステムを介することは必須です。そのため、システムエンジニアが遠隔操作のためのシステムを企画・設計・開発します。

生産技術

開発・設計されたものをもとに、実際に製品を生産する仕事です。家電の場合は、大型かつ大量生産する必要があるため、実際に人の手で行う作業は少ない傾向があります。そのため、生産技術では生産効率を上げる技術開発や生産設備の導入の検討などが主な業務です。また、よりよいコストパフォーマンスで生産ができるよう、最適な生産方法を考える役目も担っています。

生産管理

製品を多く生産しすぎたり、逆に不足したりしないよう、需要のバランスを見て生産量を管理する仕事です。具体例を挙げると「生活家電が売れやすい1月から2月頃にあわせて、すでにある在庫数とのバランスを考えつつ、在庫を増やすために生産量を調整する」というようなことを行います。また、生産がスムーズに行われるよう、工程の進み具合を管理することも生産管理の業務です。

品質保証

製品の品質を保つため、完成した製品のチェックを行う仕事です。「家電製品がどのような場所で、どのように使われるのか」についてあらゆるパターンを想定し、その環境を実際に再現して製品の動き方を試します。また、家電製品は大量に作られるケースが多いため、効率よくたくさんの品質検査が行えるよう、検査の自動化や検査方法の見直しなども重要な業務です。

資材調達

製品を生産するために必要な材料を調達する仕事です。現在販売されている生活家電は価格競争が激しく、良いものをより低価格で製造することが求められています。そのため、調達段階でなるべく低価格の原材料や部品を仕入れることが大切です。家電の生産に必要な材料は世界中から仕入れられるため、条件にあった調達先を見つけられるよう、海外まで探しにいくこともあります。

営業

企業の売上を伸ばすため、製品の販売や売り込みを行う仕事です。家電メーカーの営業は、基本的には家電を売る量販店のような店に対して製品を売ります。個人のお客様へは、家電量販店などの店を介して販売されるという仕組みです。しかし、家電業界の営業は、製品の販売だけが仕事ではありません。家電購入後に出てきた問題点をお客様のもとまで行って技術的に解決したり、家電を生産するための技術を売り込んだりする営業もいます。さらに、必要な部品の製作などを外部の会社へ依頼している場合は、外部の会社へ出向いて価格交渉などを行うのも営業の仕事です。

知的財産

知的財産とは、発明した技術やアイディア、デザインなど、形を持たない財産のことです。こうした知的財産を他に真似されないよう、独占できる権利を知的財産権といいます。企業で開発した新技術や家電に組み込むアイディアは、勝手に他の企業に真似されてしまうと大きな損害になりかねません。そのため、知的財産権によって技術やアイディアを保護できるよう、特許取得・意匠登録・商標登録などの手続きを行うのが知的財産を扱う部門の仕事です。実際に三菱電機株式会社でも、エアコンの内部にホコリなどが付着しにくくなるようなファンの素材とファンのコーディング素材で特許を取得しています。

家電業界で求められる人とおすすめの学部

家電好きの若い女性

家電業界に就職するためには、どのような経験や資格が求められるのでしょうか。ここでは、家電業界に向いている人の特徴、おすすめの学部などもご紹介します。

求められる経験や資格

家電業界で働く場合、応募に際して必須の資格はありません。職種によって求められる資格がある場合も、入社してから取得可能なケースがほとんどです。
また、必須で求められる資格ではありませんが、家電業界に活かせる「家電製品アドバイザー」という資格があります。おもに家電量販店にて家電を提案・販売する方向けの資格ですが、家電の知識を得られる資格です。こうした家電に関する資格も、余裕があれば取得しておくとよいでしょう。

家電業界に向いている人

家電業界に向いている人の特徴は、以下の3つです。
・新しい技術への興味が強い
・生活に役立つものを生み出すことが好き
・家電製品が好き

・新しい技術への興味が強い
家電業界は、より良い製品や技術を開発するために日々進化しています。例えば、パナソニック株式会社では、スマートフォンのGPS機能と連携し、スマートフォンが持ち出されて外出が確認されると自動的に省エネ運転に切り替わる冷蔵庫を開発しました。今後も、このようにインターネット技術を取り入れた製品は次々と開発されていくでしょう。業界で遅れをとらないためにも、常に新しい技術などを学び続けていく必要があります。そのため「新しい技術や他企業の新製品に興味があり、学びたい」という人には適しているでしょう。

・生活に役立つものを生み出すことが好き
家電製品を作るためには、実際に作り上げる生産工程はもちろん、研究開発や設計でも「製品を作り上げる」という意識が求められます。そのため「ものづくりが好きで興味がある」という方にも最適です。また、家電製品は「人々の生活に役立つもの、生活を便利にするもの」であることも求められます。人々の生活をさらに豊かにできるものを考えたり、生み出したりすることが好きな方には向いているでしょう。

・家電製品が好き
「取り扱っている家電製品が好き」「メーカー自体が好き」という方にも、家電業界はおすすめです。家電製品に関する知識や実際に使った経験は、家電を生産する際にも活かせます。メーカー自体が好きだという場合も、メーカー独自の売りや技術力・こだわりに愛着を持って、より良い製品づくりを実現でしょう。また、売上を伸ばすためには、自身が携わった家電製品でお客様に満足していただくのはもちろん、数あるライバル会社から自分が携わっているメーカーを選んでいただく必要もあります。その際も「メーカーが好き」という強い思いで仕事ができ、やりがいを感じられるでしょう。

家電業界で働くためにおすすめの学部

家電の基盤について研究する学生

家電業界で、設計や生産を行う技術系職種を目指す場合は、工学部や理工学部がおすすめです。工学部では、数学や物理学、化学、生物学などから得た理論や仮説を「社会へ役立つ製品や仕組みにどう活かせるか?」ということを研究・分析します。家電業界を目指すなら、とくに電気工学や電子工学を学んでおくとよいでしょう。電気工学では、電気回路などの電気に関わる製品や電気の仕組みなどについて学びます。電子工学は、電子運動による技術や活用方法、電子技術を用いた製品などについて学ぶ学問です。また、理工学部は、工学に加えて理学も学べます。理学は、工学に繋げられる理論や自然科学について、より深く学んだり研究したりする学問です。そのため、技術職の中でも研究開発を行いたい場合は、理工学部が適しています。
また、営業や事業企画などの事務系職種を目指す場合は、文系の学部でも問題ありません。ただ、技術系職種との関わりも多く、自社の技術や製品に対する深い理解も求められるため、電気工学や電子工学の知識がある方がよいでしょう。
電気工学や電子工学を学べる大学、学部には、以下のようなものがあります。


関西学院大学工学部
九州工業大学工学部
芝浦工業大学工学部
早稲田大学先進理工学部
横浜国立大学理工学部

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家電業界の仕事では、私たちの生活に欠かせない生活家電の開発・生産に携われます。「ものづくりが好き」「新技術を学ぶのが好き」という方も、やりがいを感じながら働けるでしょう。
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