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芸術学部とは?主な学科の種類や就職先、向いている人の特徴を紹介

2025.07.29

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「芸術学部では具体的に何を学ぶの?」「卒業後はどんな仕事に就けるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

芸術学部は、表現力や感性を活かして、自分らしい世界を形にできる魅力的な学びの場です。ただし、分野が多岐にわたるため、内容を十分に理解しないまま進学すると入学後にギャップを感じる可能性もあります。

この記事では、芸術学部の主な学科や向いている人の特徴について解説します。記事を読めば、芸術学部の特徴や学びの内容を把握でき、自分の興味や適性に合っているかどうかを確かめられるはずです。将来の進路を考える際の参考として、ぜひお役立てください。

芸術学部とは

芸術学部とは、絵画・デザイン・音楽・映像・舞台などの多彩な表現を通じて、自分の感性や考えを形にする力を育てる学部です。創作に加え、ジャンルを超えた表現やデジタル技術にも触れながら、発想力や発信力も養います。

実技の習得に加え、芸術の成り立ちや社会的意義を学ぶなかで、表現に対する視野が広がり、思考も深まるでしょう。

近年はメディアアートや舞台・展示の企画など「伝える側」の学びにも注目が集まっており、人や社会とつながる視点が育まれるのも大きな魅力です。

芸術学部のある大学と美術学部のある大学の違い

芸術分野を学べる大学には「芸術学部」や「美術学部」などの学部がありますが、実際には設置されている学科の内容が大きな違いになります。

芸術学部がある大学の学科例は、以下のとおりです。

  • 音楽学科
  • 映画学科
  • 文芸学科
  • デザイン学科

美術学部がある大学の学科例は、以下のとおりです。

  • 日本画学科
  • 油絵学科
  • 彫刻学科
  • 工芸学科

芸術学部は、音楽・映像・文芸・デザインなど、扱うメディアや表現方法が多岐にわたるのが特徴です。作品を通じて社会とつながったり、何かを発信したりすることにも重きを置いており、表現の幅を広げたい人に向いています。

一方、美術学部は、日本画や油絵、彫刻、工芸といった視覚芸術に特化しており、素材や技法そのものにじっくり向き合うスタイルが中心です。より純粋なアートに集中したい人に適した学びの場といえるでしょう。

芸術学部の主な学科と学べる内容

芸術学部の主な学科は、以下のとおりです。

● 美術学科
● デザイン学科
● 映像学科
● 音楽学科
● 演劇学科

各学科でどんな学びができるのか紹介しているので、自分に合った分野を探してみてください。

美術学科

美術学科では、絵画・彫刻・版画・工芸など、古くから受け継がれてきた芸術表現を中心に学びます。デッサンや色彩、構図といった基礎を大切にしながら、自分の内面と向き合い、感性を深めていくのが特徴です。

また、一つの作品にじっくり取り組む中で、素材や技法への理解を深めると同時に「表現とは何か」という根本的な問いに向き合う姿勢も養われます。

デザイン学科

デザイン学科では、ポスター・パッケージ・空間設計など、暮らしや社会に役立つデザインの考え方を幅広く学びます。視覚的なわかりやすさや使いやすさを大切にしながら、実際の生活に活かせる表現スキルを身につけていくのが特徴です。

見た目の美しさにとどまらず、誰に何を伝えるかを考えながら、伝わるデザインを追求する力が育まれます。

映像学科

映像学科では、テレビ・映画・CMといった身近な映像作品の制作に関わる知識や技術を学びます。映像を通じて伝える力を育てるために、感性・技術・専門知識の3つをバランスよく身につけていくのが特徴です。

CGやメディアアート、インタラクティブアートなど、最新の映像表現にも対応しており、デジタル時代ならではの表現力も養われます。映像を通じて人や社会とつながる手段を学びながら、自分なりの表現スタイルを深められるはずです。

音楽学科

音楽学科では、ピアノ・声楽・管弦楽・作曲・指揮・音楽理論などを幅広く学び、音楽表現の幅を広げていきます。演奏技術だけでなく「音で何を伝えるか」といった音楽の本質に向き合う学びが特徴です。

また、日々の練習や舞台での発表を通じて、自分の音を客観的に捉える力も養われます。音楽を演奏するだけでなく「創り」「届ける」存在として、自分の表現を磨き続ける力が求められる環境です。

演劇学科

演劇学科では、演技・演出・脚本に加え、舞台美術や照明・音響など、舞台芸術を幅広く学びます。作品をチームでつくるプロセスを通して、表現の楽しさや舞台の魅力を実感できるのが特徴です。

舞台上での表現力だけでなく、仲間とのやりとりや役割分担の中で、コミュニケーション力や協調性も自然と身についていきます。舞台芸術を通じて、自分自身の可能性を伸ばしていける場です。

芸術学部に向いている人の特徴

発生練習をする音楽学科の学生

芸術学部に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

● ものづくりや表現が好きな人
● 自分の考えや世界観を持っている人
● 自分と違う考えにも耳を傾けられる人

それぞれ解説します。

ものづくりや表現が好きな人

芸術学部は、ものづくりや表現が好きな人に最適です。絵を描く、音を奏でる、デザインするなど、実技を通して自分の感性を形にする力を養えます。「好き」を原動力にしながら、表現力や創造力を伸ばしていけるのが魅力です。

作品づくりや発表の機会も多く、考える力や伝える力、協調性も自然と身につきます。創作に情熱を持ち、自分の手で何かを生み出すことに喜びを感じる人にとって、大きなやりがいを得られる環境です。

自分の考えや世界観を持っている人

芸術には、数学のように一つの正解があるわけではありません。だからこそ「自分はどう感じたか」「どう表現したいか」といった自分だけの考え方や感じ方がとても大切になります。

決まった答えがない分野だからこそ、人それぞれの個性がそのまま魅力になるのが芸術の面白いところです。うまく言葉にできなくても、心の中にある思いやイメージを大切にできる人は、表現の世界に向いていると言えるでしょう。

自分と違う考えにも耳を傾けられる人

芸術学部では、自分の好きな表現を突き詰めるだけでなく、他者の考えや目的に応じて表現を変えていく力も求められます。

例えば、舞台美術では演出家の意図に沿った空間づくりが必要になり、デザインでは「自分が良いと思うもの」ではなく「多くの人に伝わるかどうか」を考える視点が大切になります。

こうした学びの中で、自分と違う意見や価値観にもしっかり耳を傾け、柔軟に表現に取り入れられる人は、芸術学部に向いています。

芸術学部の主な就職先

将来のために造形を学ぶ学生

芸術学部の主な就職先は、以下のとおりです。

● クリエイティブ業界(デザイン・広告・映像・Webなど)
● 芸術系の専門職(映画・文章・評論など)
● ものづくり関連職(出版・印刷・商品開発など)
● 教育・文化関連職(教員・学芸員など)
● 独立・創作活動(フリーランス・作家・アーティストなど)

どの仕事も、芸術学部で磨いた表現力や創造性、専門的なスキルを活かせるフィールドです。感性を武器に自分のアイデアを形にしていく力は、さまざまな業界で求められています。

クリエイティブ業界(デザイン・広告・映像・Webなど)

デザイン・広告・映像・Webなどのクリエイティブ業界は、芸術学部で培った表現力や発想力を活かせる進路です。チームで制作を進める仕事が多く、スピード感も求められます。

クリエイティブ業界の主な職業と仕事内容は、以下のとおりです。

主な職業仕事内容
グラフィックデザイナー広告・ポスター・ロゴなどの視覚表現をデザインする
WebデザイナーWebサイトやアプリの見た目や操作性を設計する
映像クリエイター・アニメーター映像作品やアニメーションの企画・撮影・編集を行う

自分のアイデアやデザインが実際に世の中に届くやりがいがあり、表現を仕事にしたい人に最適な仕事です。

芸術系の専門職(映画・文章・評論など)

芸術系の専門職は、映画制作や執筆、アート評論など、芸術の学びを専門的に活かして自分の視点や感性を発信できる仕事です。

芸術系専門職の主な職業と仕事内容は、以下のとおりです。

主な職業仕事内容
映画監督映画制作の統括責任者として、現場全体をリードする
ライター雑誌やWebメディアなどの媒体に掲載する記事や文章を執筆する
アートディレクター広告やゲーム、雑誌、Webなどのビジュアル表現全体を統括する

映像や文章など、多様な手法で表現力を高めたい人に向いています。作品を通して考えを伝えたい人にとって、大きなやりがいがある分野です。

ものづくり関連職(出版・印刷・商品開発など)

出版物のレイアウトやパッケージ、商品企画など、ものを通じてアイデアを形にする仕事も芸術学部の学びが活かせる分野です。使いやすさや美しさを意識しながら、日常のものをデザインします。

ものづくり関連職の主な職業と仕事内容は、以下のとおりです。

主な職業仕事内容
プロダクトデザイナー生活用品や雑貨、文具などの形・使いやすさを設計する
グラフィックデザイナー印刷物や広告、パッケージなどの見た目をデザインする
編集者DTPオペレーター本や雑誌の内容・レイアウトを編集し印刷物を制作する

目に見えるものに芸術的な価値や想いを込めたい人にとって、やりがいを感じやすい仕事といえるでしょう。

教育・文化関連職(教員・学芸員など)

芸術の知識や経験を活かして伝える役割を担うのが、教育・文化関連の仕事です。学校の美術教員や美術館の学芸員など、表現そのものだけでなく、その価値や背景を伝える役割を担います。

教育・文化関連職の主な職業と仕事内容は、以下のとおりです。

主な職業仕事内容
中学教師高校教師(美術/音楽)中高生に美術や音楽を教える教員として働く
学芸員美術館などで展示企画や作品解説、収蔵資料の管理を行う

芸術を教える、広める、次の世代につなげていくことに興味がある人におすすめの進路です。

独立・創作活動(フリーランス・作家・アーティストなど)

芸術学部で培ったスキルや表現力を活かし、個人で活動する道を選ぶ人もいます。作品を販売したり、イラスト・デザイン・演奏などの依頼を受けたりと、さまざまな形で仕事を広げていけるのが特徴です。

独立・創作活動の主な職業と仕事内容は、以下のとおりです。

主な職業仕事内容
画家・現代アーティスト個展や展示会で自らの作品を発表・販売する
イラストレータークライアントの依頼に合わせて、広告や本、Webなどで使うイラストを制作する
音楽家・演奏家・作曲家演奏や作曲活動を行い、教室やライブ活動なども展開する

自由度が高い分、自己プロデュース力や継続力も必要ですが「自分の表現で生きていきたい」と考える人にとっては、大きな可能性が広がるでしょう。

芸術学部で取得できる資格

芸術学部で取得を目指せる主な資格は、以下のとおりです。

● 中学・高校教員1種(美術・音楽など)
● 博物館学芸員

取得可能な資格は大学によって異なるため、入学前に大学のパンフレットやWebサイトをチェックするのがおすすめです。

中学・高校教員1種(美術・音楽など)

中学校や高等学校で美術や音楽を教えるために必要な教員免許です。中学では「美術」、高校では「美術」「工芸」などの教科が対象になります。教職課程の科目を履修し、教育実習などの要件を満たせば取得が可能です。

芸術の専門知識だけでなく、教育学や心理学、指導法なども学ぶため、教える力や伝える力を磨きたい人におすすめの資格です。

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博物館学芸員

美術館や博物館で展示企画や資料の管理・解説を行うために必要な専門資格です。大学で学芸員資格課程(博物館学)を履修し、所定の単位を修得すれば取得できます。

アートや文化と社会をつなぐ役割を担う職業で、国家資格として博物館法に基づいて定められています。芸術や歴史に関心があり、それを多くの人に伝える仕事に興味がある人におすすめです。

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芸術学部を設置している大学

キャンパスにいる芸術学部の学生たち

芸術学部を設置している代表的な大学を国公立と私立に分けて紹介します。

【国公立】

【私立】

ほかにも芸術学部を設置している大学を知りたい人は、逆引き大学辞典の「系統別学問内容リサーチ」を活用してみてください。

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>>芸術学部のある大学を見てみる

芸術学部で行われている研究

芸術学部ではどのような研究が行われているのでしょうか。ここでは、日本大学の「アジア舞踊文化圏における共通言語の発見と創作舞踊の発展」という研究を紹介します。
この研究では、日本の舞踊に見られる「舞」や「振り」などの動きに注目し、歌舞伎の演出や音楽との関係、感情表現としての役割を探っています。さらに、中国や韓国の舞踊と比較し、共通するリズムや「間(ま)」といった感覚も明らかにされました。
身体表現を通して文化のつながりを探るこうした研究は、芸術学部ならではの魅力といえるでしょう。

芸術学部での研究をほかにも知りたい人は、興味のある研究から志望大学を探せる「スタビキ」をご活用ください!「芸術学部」で研究すると、各大学の農学部によるさまざまな研究が分かりますよ!
>>芸術部の他の研究も見てみる

芸術学部に関するよくある質問

芸術学部への進学を前に悩みや疑問を抱く女子高生の様子

芸術学部に関するよくある質問として、以下の3つを解説します。

  • 芸術学部に進学するメリットは?
  • 芸術学部の就職は不利ですか?
  • 芸術学部のデザイン学科では何を学べますか?

芸術学部に進学するメリットは?

芸術学部では、絵を描く、デザインする、音楽を奏でるなどの実技を通して、好きなことに思いきり取り組めます。その中で、自分らしい表現力や感性が磨かれていくのが魅力です。

また、作品づくりに加えて、プレゼンや企画を通じて伝える力や考える力、協調性も養われ、将来さまざまな場面で活かせます。

芸術学部の就職は不利ですか?

「芸術学部は就職に不利なのでは?」と思われがちですが、実際にはそんなことはありません。たしかに競争の激しい業界も存在しますが、それは他の分野でも同じです。

近年は発想力や表現力を重視する企業が増え、デザインや映像、広告、商品企画、Webなど幅広い分野で活躍する卒業生も多くいます。

大切なのは、自分の強みをどう伝えるか。芸術学部で磨いた発想力や表現力は、広告やデザイン、映像、商品企画など、クリエイティブな力が求められる業界で特に強みとして発揮できます。

芸術学部のデザイン学科では何を学べますか?

芸術学部のデザイン学科では、ポスターやロゴ、空間設計など、人と関わる「かたち」や「仕組み」をつくる力を学びます。見た目の美しさだけでなく「誰に」「どう伝えるか」といった視点を持ちながら、考える力や伝える力、提案する力をバランスよく身につけていきます。

デザインを通して社会に貢献したい人や、人の心を動かす表現に挑戦したい人に最適な学科です。

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芸術学部は、人の心を動かす表現やデザイン、文化のあり方を学びながら、創造力を育てていく学びの場です。アーティストやクリエイターを目指す人はもちろん、自分の感性を社会に活かしたい人、表現を通して人とつながりたい人にもぴったりの学部といえます。

「好き」を力に変えて、自分らしい未来を切り拓きたい人にこそ、芸術学部の学びは大きな可能性を与えてくれるはずです。

芸術学部を設置している大学を知りたい人は、逆引き大学辞典の「系統別学問内容リサーチ」を活用してみてください。芸術学部を設置している大学がわかるので、進路選びの参考になるでしょう。

>>芸術学部のある大学を見てみる

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