大学の学校推薦型選抜(旧推薦入試)とは?特徴や受験スケジュールも解説
2023.11.01

「学校推薦型選抜(旧推薦入試)は絶対に合格できるの?」「総合型選抜(旧AO入試)とどっちがおすすめ?」と疑問に思う人もいるでしょう。受験方式の選択は自分の強みを活かせるかどうかに関わる大切な決断です。
自分に合わない入試方式を選ぶと「得意な部分をアピールできず、合格の可能性を下げてしまう」ことがあります。学校推薦型選抜(旧推薦入試)は、一般入試とは準備の内容が異なるため、対策が後回しになると早期合格のチャンスを逃してしまうかもしれません。
この記事では、学校推薦型選抜の種類やスケジュール、向いている人の特徴などを解説します。記事を読めば、自分の強みを最大限に活かせる入試方式を選び、計画的に大学合格を目指せます。
目次
学校推薦型選抜(旧推薦入試)の種類
推薦入試とは学校推薦型選抜のことで、種類は以下の3つです。
- 指定校推薦
- 公募型推薦
- 特別推薦
指定校推薦
指定校推薦は、大学側が「指定した高校」に1~3人程度の推薦枠を設け、大学入学を希望する優秀な生徒を高校側から推薦する方式です。指定校推薦の特徴は以下の通りです。
- 私立大学のみ
- 試験内容は小論文や面接が一般的
- 合格率はほぼ100%
指定校推薦の校内選考は3年生の8月~10月上旬になります。指定校推薦の枠を獲得する条件やメリット・デメリットについて詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。
指定校推薦とは?入試内容や受験のメリット、受験対策など解説 – 逆引き大学辞典 (gyakubiki.net)
公募型推薦
学校推薦型選抜には「公募型推薦」もあります。指定校推薦が大学側から高校の指定があったのに対し、公募型推薦は高校の指定はないため、要件を満たせばどの大学でも受験できます。公募型推薦の特徴は以下の通りです。
- どの高校に在学していても、高校の学校長から推薦されれば受験できる
- 合格率は志望者数によって大きく変動する
- 文化活動などの実績や資格取得などを出願条件とする「公募制特別推薦選抜」がある
志望者数の多い人気の大学・学部では、一般選抜よりも合格率が低くなることもあります。
公募型推薦について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
学校推薦型選抜とは?公募・指定校推薦、総合型選抜との違いを解説 – 逆引き大学辞典 (gyakubiki.net)
<PR>
推薦入試の試験対策に、お困りではないでしょうか。推薦入試は一般入試とは異なりますので、普通の進学塾や予備校に通っているだけでは十分とはいえないでしょう。総合型選抜・推薦入試専門の指導を受けるのがオススメです。資料請求は無料ですから、資料を見ながら家族と相談してみましょう。
総合型選抜、推薦入試で圧倒的な合格実績【オンラインのメガスタ】
特別推薦
学校推薦型選抜には、学力だけでなくスポーツや音楽の実績で評価する方法もあります。ここでは、以下3つの特別推薦について解説します。
- スポーツ推薦
- 音楽推薦
- 宗教に関わる推薦
これらの特別推薦枠は大学によって募集枠が異なり、学校推薦型選抜や総合型選抜に含まれることが多いです。詳しくは、各大学の募集要項で確認してみてください。
それぞれの推薦について順番に解説します。
スポーツ推薦

スポーツ推薦とは、高校時代にスポーツで実績を残した人が活用できる入試制度です。大学によって名前はさまざまで、たとえば中部大学は「特技推薦」という名称です。全国の大学の4割程度がスポーツ推薦を実施しており、そのうち約7割が募集競技を指定しています。
たとえば青山学院大学のスポーツ選抜では、42の種目が設けられており、男女によって募集しているスポーツは異なります。一例を表にまとめたので参考にしてみてください。
男子のみの募集 | 女子のみの募集 |
アイスホッケー | チアリーディング |
アメリカンフットボール | 軟式野球 |
硬式野球 | ハンドボール |
サッカー | 陸上競技(短距離) |
参考:2025年度スポーツに優れた者の入学者選抜要項|青山学院大学
各学部、数名ずつの募集となっており、出願条件としては募集種目において以下のような成績を証明する必要があります。
- オリンピック、世界選手権等の国際大会およびこれらに相当する国際大会に出場した者
- 高校時代、各種大会にて8位以上の成績をおさめた者
- 都道府県大会や各地域の大会において、優勝または準優勝の成績をおさめた者
また、評定平均3.5以上も出願条件となります。スポーツ推薦を実施している大学の多くが評定平均の出願制限を設けているので、学業もおろそかにはできません。
音楽推薦
特別推薦には音楽選抜もあります。たとえば神奈川大学では、吹奏楽部と管弦楽団を対象に推薦入試を実施しており、出願条件には以下のようなものがあります。
- 全国レベルのコンクール、大会等に出場し、優秀な成績をおさめた者
- 地域のコンクール、大会等で特に優秀な成績をおさめた者
- 評定平均値が3.1以上である者
選考は一次審査と二次審査があり、それぞれの内容は以下の通りです。
一次審査 | 書類審査・実技・面接 |
二次審査 | 書類審査・小論文・面接試験 |
一次試験の実技は、得意な楽器での課題曲と任意の楽曲1曲ずつを演奏します。
参考:2024年度 スポーツ・音楽推薦(公募制)入学試験[第Ⅰ期]第一次選考について|神奈川大学
キリスト者等推薦
大学によっては、キリスト教推薦やキリスト者推薦という推薦枠もあります。主な募集要項は以下の通りです。
- キリスト教会の会員、求道者等
- 基準値以上の評定平均
- 入学後のキリスト教活動への積極的な参加
青山学院大学の教育人間科学部では、評定平均4.0以上と高い学力も求められます。
詳しくは、各大学の募集要項を確認してみてください。
参考:青山学院大学 全国高等学校キリスト者推薦入学者選抜要項2024年
学校推薦型選抜(旧推薦入試)以外の入試の種類

学校推薦型選抜以外の入試の種類は、以下のとおりです。
- 総合型選抜(旧AO入試)
- 一般選抜
総合型選抜(旧AO入試)
総合型選抜とは旧AO入試のことで、高校の推薦が無くても受験可能です。総合型選抜の特徴は「大学側が求める学生像か」を重視する入試であること。高校側が生徒を推す学校推薦型とは大きな違いがあります。
総合型選抜のメリットやデメリット、出願・選考方法などについて詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
総合型選抜とは?一般・AO入試との違いや受験メリットを解説 – 逆引き大学辞典 (gyakubiki.net)
一般選抜
一般選抜とは一般入試のことです。国公立大学の場合は共通テストと大学独自の試験結果を、私立大学の場合は、大学独自の試験の結果をもとに合否を判定するのが一般的です。
国公立大学の多くが一般選抜の形をとっており、試験日程は前期と後期に別れています。(一部の公立大学では中期を設けている場合もある)各日程につき1校のみ受験できるため、最大2~3校受験可能です。近年では、国公立大学も総合型選抜や学校推薦選抜を募集するところも増えています。
私立大学の一般選抜も「共通テスト」と各大学による「独自試験」で構成されています。国公立と違う点は、共通テストも独自試験も3科目受験が主流である点です。
共通テストの仕組みや内容について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
大学入学共通テストとは?試験の仕組みや受験時の注意点などを解説 – 逆引き大学辞典 (gyakubiki.net)
学校推薦型選抜(旧推薦入試)のスケジュール
学校推薦型選抜の一般的なスケジュールは、以下のとおりです。
時期 | 指定校推薦 | 公募型推薦 |
6~7月 | 高校内で推薦枠・出願条件の公表 | 私立大学の募集要項配布開始 |
7~9月 | 校内選考準備 | 国公立大学の募集要項配布開始 |
9~10月 | 校内選考実施 推薦生徒の決定 | 推薦生徒の決定 |
11月 | 出願・選考開始 (11/1日以降) | 出願・選考開始 (11/1日以降) |
12月 | 合格発表(12/1以降) | 合格発表(12/1以降) |
1~2月 | 国公立大学で共通テストを課す場合の合格発表 |
スケジュールはあくまで目安です。高校や大学によって日程は変わるため、必ず確認しましょう。
学校推薦型選抜は12月頃に結果が出ますが、不合格なら休む間もなく一般選抜(1月中旬〜3月上旬)に向き合うことになります。推薦入試だけに頼るのは避け、一般入試も含めた受験プランを立てておきましょう。
学校推薦型選抜で入学した人の割合
実際に、学校推薦型選抜で入学する人がどの程度いるのか気になる人もいるでしょう。以下は、学校推薦型選抜で入学した人の割合を表したものです。
国立大学 | 公立大学 | 私立大学 | 合計 | |
令和3年度 | 11.9% | 25.8% | 41.5% | 36.0% |
令和4年度 | 11.7% | 25.8% | 41.7% | 36.2% |
令和5年度 | 12.3% | 26.0% | 41.4% | 35.9% |
令和6年度 | 12.4% | 26.0% | 40.3% | 35.0% |
参照: 令和6年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要|文部科学省
私立大学においては40%以上が学校推薦型選抜で入学しています。推薦入試で大学進学することは、決して珍しくないと言えるでしょう。新たに学校推薦型選抜、総合型選抜を実施する大学は増加しており、今後ますます増えていくと予想されます。
各大学の学校推薦型選抜の実施状況や募集要項を確認したい場合は、「大学名 学校推薦型選抜学生募集要項」で検索すると概要を確認できますよ。
学校推薦選抜(旧推薦入試)に向いている人

学校推薦型選抜に向いている人の特徴は、以下の通りです。
- 成績上位者
- 指定校の枠に自分の本命の大学がある人
- 一般選抜での合格が難しそうな人
順番に解説します。
成績上位者
成績が上位であることは、学校からの推薦を受けるための条件です。学校選抜型推薦の出願条件として、多くの大学が「評定平均4.0以上」を指定しているからです。
評定平均値とは学校のテストの成績によって決まり、高校1年生から高校3年生の1学期までの点数で評価されます。評定平均が足りていないと応募することもできないので、推薦を狙っている人は、1年生のときから頑張っておく必要があるのです。
本命の大学が決まっている人
指定校推薦や公募型推薦の枠の中に、自分の本命の大学がある人は、受けるべきでしょう。
学校推薦型選抜は基本的に専願になるので、合格すればその大学に進む選択肢以外ありません。本命でない大学を安易に受験して合格してしまった場合「やっぱり、違う大学にチャレンジすればよかった」と後悔する可能性があります。ちなみに指定校推薦は、私立が中心で一部の公立大学を除いて国公立大学では実施していません。「国公立大学も視野に入れている」という人は慎重に選択しましょう。
一般選抜での合格が難しそうな人
行きたい大学に偏差値が届いていないと、一般選抜で一発勝負をするのは怖いですよね。こういった場合も、学校推薦型選抜をおすすめします。
指定校推薦の場合は推薦してもらえれば合格率はほぼ100%なので、自分の偏差値以上の大学に合格できる可能性があります。公募型推薦の場合、試験内容が小論文や面接である大学もあるため、対策しておけば合格を狙うことは可能です。
公募型推薦で合格できなかった場合は一般選抜でまたチャレンジできるので、試験の回数を増やせるという意味でも良いチャンスと言えます。
学校推薦型選抜(旧推薦入試)に向いていない人

学校推薦型選抜に向いていない人の特徴3選は、以下の通りです。
- 得意科目・不得意科目がはっきりしている
- 素行が良くない
- 勉強の習慣がついていない
得意科目・不得意科目がはっきりしている
「数学は得意だけど国語は苦手」など、得意・不得意がはっきりしている人は、学校推薦型選抜には向いていません。学校推薦型選抜は一般的に4.0以上の高い評定平均を設定している場合が多く、学校の定期テストでどの教科も満遍なく高得点を取っておく必要があるからです。
「数学が5なら国語が2でもフォローできるのでは?」と思う人もいるでしょうが、この場合、評定平均は3.5になるので4.0に満たないということになります。
得意・不得意がはっきりしている人は、推薦よりも私立の一般選抜のほうが結果を出しやすいかもしれません。私立の一般選抜は、3科目での受験が一般的なので、得意科目だけに絞って勉強できるからです。
素行が良くない
「授業を聞いていない」「服装検査にいつも引っかかる」といった素行の悪い人は、そもそも推薦入試に必要な推薦書を書いてもらえません。学校推薦型選抜とは、高校側が大学に向けて生徒を推薦するわけですから、勉強面はもちろん普段の生活態度も考慮されることを覚えておきましょう。
勉強の習慣がついていない
高校生になった段階で勉強習慣がついていない場合、学校推薦型選抜は難しいかもしれません。なぜなら、学校推薦型選抜を受けるには一般的に評定平均4.0以上である必要があるからです。評定平均は、高校1年生から3年生の1学期までの成績で決まるため、高1から学校のテストで高得点を取っておく必要があるのです。そのためには、しっかりと勉強習慣を付けておく必要があるでしょう。
評定平均が足りなくて「1年生から頑張っておけばよかった」となる前に、最初から良い点数を狙って勉強しておきましょう。
ユニークな大学入試制度

大学の中には、ユニークな入試制度を設けているところもあります。ここでは、以下2つの大学の入試制度について紹介します。
- 京都大学|特色入試
- 大阪大学|世界適塾入試
いずれの入試も、二次試験で共通テストが課されているため、基礎学力も欠かせない条件です。また、グローバル社会をけん引するリーダーを確保・育成する目的であることも共通しています。
ほかにも、それぞれの特徴について解説します。
京都大学|特色入試
京都大学では、すべての学部で特色入試を実施しています。ほかの大学の一般選抜と併願可能なので、興味がある人はチャレンジしてみてください。
京都大学の特色入試では、高校時代の実績と各学部への適合力をもとに合否を判定されるのが特徴です。京都大学の公式HPによると、評価対象となる実績は以下の通りです。
- 数学オリンピックや国際科学オリンピック出場
- 各種大会における入賞
- SAT・TOEFL・TOEIC ・英検の成績
各学部への適合力については「学びの設計書」で測ります。学びの設計書に求められる内容は以下の通りです。
- 高校時代に取り組んだこと
- 志望理由
- 京都大学で何をどう学びたいか
- 学んだことを卒業後どう生かしたいか
志望理由だけでなく、高校から大学、社会人までを描いた設計書として記載するのがポイントです。
大阪大学|世界適塾入試
大阪大学の「世界適塾入試」は、各学部で実施するAO入試、推薦入試の総称です。グローバル社会で活躍する優れた人材を集めるため、多様な資質、能力を持った人、目的意識や意欲に溢れた人材を募集しています。
大阪大学の政界適塾入試の選考方法は以下の通りです。
一次試験 | 書類選考 |
二次試験 | 小論文、面接、大学入学共通テスト |
書類選考で提出が求められるものは学部によって異なります。たとえば総合型選抜を実施している外国語学部では、英検の合格証明書やTOEFL-iBTのスコア証明書や学修計画書などの提出が必要です。学修計画書では、大学で学びたいテーマと内容についての記載が求められます。
学校推薦型選抜(旧推薦入試)を検討している人のよくある質問

学校推薦型選抜を検討している人のよくある質問をまとめたので、参考にしてみてください。
学校推薦型選抜と一般入試、どちらが難しい?
両者は別物なので一概に難易度を測るのは難しいです。一般入試は主に学力テストの点数で合否が決まる「一発勝負」の性格が強いのに対し、学校推薦型選抜は評定平均や小論文、面接など多角的な要素で判断されます。
一般入試では試験当日の実力が問われますが、推薦入試では高校生活全般の積み重ねが重視されるのが特徴です。とくに指定校推薦では難関大ほど厳しい評定条件(例:平均4.2以上)が設けられ、高1から一貫して好成績を維持する必要があります。人によって難易度の感じ方は変わるでしょう。
学校推薦型選抜(旧推薦入試)で落ちることはある?
結論として、学校推薦型選抜でも不合格になることはあります。指定校推薦の場合、合格率はほぼ100%と高いですが、そもそも校内選考に通過できなければ出願すらできません。校内での競争が激しいケースも多くあります。
一方、公募型推薦は志願者全員が競争する選抜方式のため、不合格となる可能性は十分にあります。大学側の募集人数や出願倍率によって合格のハードルは変わるので、注意が必要です。万が一不合格になった場合でも、公募型推薦の二次募集や総合型選抜に挑戦できる可能性があります。
学校推薦型選抜で不合格となった場合のことも考えて、一般選抜の対策も進めておくことをおすすめします。推薦入試に失敗しても一般入試に切り替えられるよう、学科試験の勉強は継続しておくべきでしょう。
総合型選抜(旧AO入試)学校推薦型選抜(旧推薦入試)どっちがいい?
どちらが良いかは、あなたの強みによって異なります。学校推薦型選抜は学校からの推薦が必要ですが、その関門を超えれば合格率が比較的高い傾向にあります。定期テストの成績が優秀で評定平均が高い生徒や、課外活動で実績のある生徒が有利です。
一方、総合型選抜は誰でも出願できますが、書類審査が厳しく、大学にアピールできる活動実績や明確な志望理由が必要です。そのため、特定の才能や情熱をアピールしたい人に向いています。
自分の強みや目標に合った入試方式を選び、進路指導の先生と相談することをおすすめします。
志望大学合格のために学校推薦型選抜(旧推薦入試)を利用するのも手
学校推薦型選抜は、早く進路が決められたり、受験回数を増やせたりするメリットがあります。一方で、専願の場合は合格したら辞退できないため、安易に受験するのは危険です。大学の情報をしっかり調べてから出願するようにしましょう。また、推薦制度を受けようかどうか迷ったときは、今回紹介した「推薦制度に向いている人」に当てはまるかどうかも確認材料にしてみましょう。
大学入試に役立つ情報を知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。