社会学部とは?学科ごとの学びや目指せる資格、主な就職先を解説
2025.01.31

「社会学部って何を学ぶの?」
「社会学部の就職先はどんなところがあるの?」
こういった疑問をお持ちではないでしょうか。
経済学部や経営学部に比べると、社会学部は具体的に何を学ぶ学部なのかイメージしづらいかもしれません。
不明確なイメージのまま進学を決めてしまうと「4年間何を学んだか分からない」「就職活動で自分の強みを説明できない」といった後悔を抱くケースも少なくありません。
この記事では、社会学部の特徴や学びの内容、将来のキャリアパス、向いている人まで詳しく解説します。
本記事を読むことで、社会学部が自分に合っているかどうかの判断材料や、充実した大学生活を送るためのヒントが得られます。
目次
社会学とは?
社会学は、人と人との関わり、そして私たちと社会との関係を研究する学問です。
私たちの社会は、家族や学校、企業という小さな単位から国家や国際機関まで、たくさんの組織で構成されています。社会学を学ぶ目的は、これらの社会がどのように作られ、変化していくのか、また、さまざまな社会問題がなぜ起きるのかを理解することです。
高校の社会の授業が「社会はこうなっています」という知識を学ぶのに対し、社会学では「なぜ、社会はこうなっているんだろう」という疑問から始め、問題があればその原因を解明し、より良い社会づくりを考えます。
経営学部や商学部、経済学部との違い
社会学部と主な社会科学系学部の違いをまとめたので、進路選びの参考にしてみてください。
・経営学部
経営学部では、企業がうまく働くために大切な4つのもの「人(社員など)」「モノ(商品や設備など)」「お金」「情報」をどう上手に使っていくかを学びます。
・商学部
商学部では、効果的な販売方法や取引のルールなど、商品やサービスの取引の仕組みについて学びます。主な学習の柱は、商品を運び管理する「物流」、お金の動きを記録する「会計」、資金の流れを扱う「金融(手形・証券・保険)」の3つです。
・経済学部
経済学部では、人々の生活を豊かにするため、商品やサービスが作られ、届けられ、使われるまでの流れを研究します。社会全体の経済の動きを理解するために、数学的な分析手法を使うことが多いです。
経済学部については、以下の記事で詳しく解説しています。
経済学部ではなにを学べる?主な学科の種類と卒業後の進路について
社会学を学ぶメリット

社会学を学ぶことで、私たちが「当たり前」と受け入れている社会の仕組みや慣習に対して、新しい視点から問題を発見する力が身につきます。
たとえば、学校の運動会で伝統的に行われてきた組体操について、年間数千件もの事故が起きているという問題を指摘した研究が、その後の事故防止につながったケースがあります。
このように、データに基づく調査や分析を通じて、表面化していない社会課題を明らかにし、その解決策を提案できるようになります。このような問題発見能力は、AIが代替できない重要なスキルとして、さまざまな分野で求められています。
社会学部で学ぶ内容
社会学部で学ぶ内容には、以下のようなものがあります。
- 社会的な格差の拡大
- 貧困
- グローバル化
- メディア・文化
- 心理
- 福祉
- 企業や労働者
- 歴史
- 経済国際関係
社会学部の魅力は、学べる内容が実に幅広いことです。在学中にさまざまな分野に触れながら、自分の興味や関心に合った専門分野を見つけていけるのが特徴です。
このような幅広い学びの選択肢があるからこそ、とくに、総合型選抜(旧AO入試)で受験する場合は「なぜ、この学科で、この内容を学びたいのか」という理由を明確にしておくことがとても大切です。似たような内容を学べる他学科とどこが違うのかもよく調べて、志望理由に盛り込んでおきましょう。
総合型選抜や志望理由書の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
【例文付き】大学の志望理由書の書き方|注意点やマネできる構成も紹介
社会学部に属している主な学科4選

ここでは社会学部に属している主な学科を4つ紹介します。
- 社会学科
- 社会福祉学科
- 社会心理学科
- 情報社会学科
ほかにもさまざまな学科があるので、気になる人は以下より確認してみてください。
社会学科
社会学科は、私たちが暮らす社会について、多角的な視点から深く学ぶ学科です。人々の関係性や社会の仕組み、現代社会が抱えるさまざまな課題について研究します。
社会調査やデータ分析の手法を学びながら、表面化していない問題を発見し、その解決策を考え出す力を養います。
将来は、官公庁の職員、マスコミ、広告会社、一般企業の企画部門など、幅広い分野で活躍できます。
社会福祉学科
社会福祉学科では、誰もが幸せに暮らせる社会をつくるために必要な知識や支援の方法を学びます。
たとえば以下のような内容を扱います。
- 高齢者の介護の問題
- 障がいのある人への支援
- 子育ての悩みを抱える家族への援助
- いじめや引きこもりに苦しむ若者のケア
これらの問題の原因を理解し、解決するための制度や支援の方法を学ぶとともに、実習を通じて実践的な援助の技術も身につけていきます。
将来は福祉施設の職員や相談援助の専門家として活躍できます。
社会心理学科
社会心理学科では、人の心理と社会との関わりについて、大きく2つの視点から学びます。
一つ目は「社会現象の心理学」で、犯罪や消費行動など社会で起きる出来事を心理学的に分析します。二つ目は「人間関係の心理学」で、友人関係やストレス、感情のコントロールなど、私たちの日常的な心理や行動について研究します。
将来は「認定心理士」や「公認心理師」として、人々の心の問題解決をサポートできます。
情報社会学科
情報社会学科では、私たちの生活に欠かせないデジタル技術と社会の関わりについて学びます。
コンピュータやCGの技術的な知識を学ぶだけでなく、その技術が社会にどのような影響を与えているのか、どう活用すれば人々の暮らしをより良くできるのかを考えます。
たとえば、SNSが人間関係に与える影響や、AIと人間の共生について、技術面と社会面の両方から理解を深めます。文系・理系の枠を越えた幅広い知識を身につけることで、情報化が進む現代社会で活躍できる人材を育てます。
将来は、IT企業でのシステムエンジニアやWebデザイナー、デジタルコンテンツの制作者、また企業の情報システム部門など、情報化が進む現代社会のさまざまな分野で活躍することができます。
社会学部で取得を目指せる資格
社会学部で取得できる主な資格は以下のとおりです。
- 認定心理士
- 社会調査士
- 社会福祉士(国家試験受験資格)
- 精神保健福祉士
- 学芸員(キュレーター)
- 児童指導員
- 社会福祉主事
- 教員免許(中学校(社会)、高等学校(地理歴史)、高等学校(公民)など)
- 図書館司書、司書教諭
- 上級情報処理士
- ITパスポート試験
大学や学科によって取得できる資格は異なるため、必ず受験学科で取得できる資格を確認しましょう。
社会学部の主な就職先

社会学部の主な就職先は、以下のとおりです。
- マスコミ業界(テレビ局、新聞社、雑誌出版社、広告会社など)
- IT業界(情報通信会社、ソフトウェア開発会社、ゲーム会社など)
- 製造業(自動車、食品、電機メーカー、化粧品会社など)
- サービス業(小売店、ホテル、旅行会社、コンサルティング会社など)
- 医療・福祉施設
- 公務員
- 銀行
- 保険会社
なかでも人気が高いのがマスコミ業界です。これは、社会学部で身につけた「社会の動きを分析する力」や「問題を発見する力」が、情報を発信する仕事と相性が良いからです。
社会の出来事を多角的に見る目や、データを読み解く力は、ニュースや記事を作る際に大きな強みとなります。
社会学部に向いている人
社会学部に向いている人の特長は、以下のとおりです。
- 社会の仕組みや人間行動に興味がある人
- 人と関わるのが好きな人
- コツコツ調べるのが得意な人
- 学びながら自分の将来を探したい人
順番に解説します。
社会の仕組みや人間行動に興味がある人
社会学部は、「なぜSNSで誹謗中傷が起きるのか」「どうして若者の投票率が低いのか」など、社会で起きている出来事に対して「なぜ?」「どうして?」という疑問を持つ人に向いています。
LGBTQの権利やグローバル化など、今の社会で注目されているテーマに関心があり、その背景や解決策を考えたい人にもぴったりです。
人と関わるのが好きな人
社会学部の特徴的な学習方法の一つが「フィールドワーク」です。これは、教室での勉強だけでなく、実際に現場に出て行って調査する活動のことです。
たとえば、若者の消費傾向を知るためにアンケートを実施したり、まちづくりについて地域の人たちにインタビューしたりします。
人と話すことが好きで、実際に足を運んで社会の生の声を集めることに興味がある人に向いています。
コツコツ調べるのが得意な人
社会学部では、世の中の出来事について、数字やデータを使って丁寧に調べていきます。
たとえば、アンケート結果をパソコンで分析したり、統計データからグラフを作ったりして、社会の傾向や法則を見つけ出します。
一見バラバラに見える情報の中から、少しずつ規則性を見つけていく作業は、パズルを解くようなおもしろさがあります。「なぜこの商品が売れているのか」「どうして人々の行動が変化したのか」など、データを使って理由を探っていくことが好きな人、じっくり考えることが得意な人に向いている学部です。
学びながら自分の将来の夢を探したい人
社会学部は「将来の夢がまだはっきり決まっていない人」や「いろいろなことに興味がある人」にも向いています。
なぜなら、経済、メディア、福祉、心理など、さまざまな分野を幅広く学べるため、大学生活を通じて自分が本当に打ち込みたい分野を見つけやすいためです。
また、ゼミでは興味を持った分野を専門的に深く学ぶこともできます。つまり、最初は視野を広く持ちながら、徐々に自分の進路を絞っていけるのが社会学部の特徴です。
社会学部の設置されている大学

社会学部が設置されている大学の一例を紹介します。
- 一橋大学 社会学部 社会学科(東京)
- 明治学院大学 社会学部 社会学科/社会福祉学科(東京)
- 日本女子大学 人間社会学部 現代社会学科/社会福祉学科/教育学科/心理学科(東京)
- 埼玉工業大学 人間社会学部 情報社会学科/心理学科(埼玉県)
- 同志社大学 社会学部 社会学科/社会福祉学科/メディア学科/産業関係学科/教育文化学科(京都府)
- 関西学院大学 社会学部 社会学科(兵庫県)
ほかにも社会学を学べる大学を知りたい人は、以下よりご確認いただけます。
社会学部についてもっと知りたい人は「JOB-BIKI」で進路検索!
社会学部は、少子高齢化や貧困、難民問題など現代社会が抱えるさまざまな課題を理解し、解決策を探求する学部です。そのため、社会問題に対する強い関心と、よりよい社会を作りたいという意欲を持つ人に適した学部といえます。
また、各学科はそれぞれ独自の特色を持っており、社会問題へのアプローチも異なります。本記事で紹介した学科ごとの特徴を参考に、自分の関心に最も合った進路を選んでみてください。
学部・学科選びに迷ったら「じぶんコンパス」であなたに合う学問分野を診断してみませんか?興味と性格に関する簡単な質問に答えるだけで、あなたの適性に合った学問分野が分かります!
>>じぶんコンパスを使ってみる
どんな大学に進学するか迷ったら、憧れの仕事から逆引きする方法もあります!
逆引き大学辞典の「JOB-BIKI」では、有名な企業で活躍している先輩たちの出身大学がわかります。
社会学部の卒業生がたくさん活躍している業界のデータをチェックして、進路選びの参考にしてみてくださいね。たとえば、マスコミ業界で働く方の卒業大学を知りたい場合は、「業種から探す」から「IT・広告・マスコミ」を選択し「すべて」をタップすると、業界で活躍している先輩たちの出身大学が分かります。ぜひ活用してみてください!
>>マスコミ業界の主な企業と出身大学を見てみる