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外国語学部では何を学ぶ?向いている人や主な就職先、大学での研究を解説

2025.05.08

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外国語学部の様子

外国語学部では、日々の学習を怠ると、すぐに授業についていけなくなります。そのため、SNSなどで「外国語学部はしんどい」と愚痴をこぼす学生もいるようです。

確かに、外国語学部では毎日の予習復習や週に数回の小テスト、ネイティブスピーカーの先生による授業など、語学の習得に多くの時間と労力が必要です。一方で、楽しい学びもたくさんあります。外国の文化や文学に触れたり、留学で現地の人々と交流したり、映画や音楽を原語で楽しんだりなどです。

この記事では、外国語学部で学ぶ内容や向いている人の特徴について詳しく解説します。記事を読むことで、外国語学部での学びがイメージでき、自分に合っているかどうか判断できます。

外国語学部で学ぶ内容

外国語学部では、各言語の「話す」「聞く」「書く」「読む」という4つの基本的な力を伸ばし、確かなコミュニケーション能力を育てます。それぞれの言語が使われている地域の文化や社会についても深く学べるのが特徴です。

英語を中心に学べる学科が多い中、ドイツ語やフランス語、中国語、さらに日本語の文法や発音を研究する学科などもあります。

学部主目的向いている人
外国語学部外国語の習得・特定の言語や文化に特化して研究したい人
・英語以外の言語を身に付けたい人
国際学部国際学の研究・世界の国や地域の問題解決について学びたい人
・さまざまな国を比較する研究をしたい人

外国語学部は言語習得に重点を置き、国際学部は世界の諸問題の研究に焦点を当てているのが大きな違いと言えます。

外国語学部の特徴

海外留学先の様子

外国語学部の特徴は、以下のとおりです。

  • オールイングリッシュの授業が多い
  • 発表やディベートが多い
  • 海外留学やインターンシップの機会が多い

それぞれ解説します。

オールイングリッシュの授業が多い

外国語学部の授業は、すべて英語で行われるケースが一般的です。入学当初は授業の理解に苦労する学生が多いものの、授業外での英語学習や留学生との交流などを通じて、着実に英語力を伸ばせます。

4年生になる頃には授業内容をほぼ完全に理解できるようになり、自身の成長を実感できます。「英語がそれほど得意ではないから諦めよう」と考えている人もいるかもしれません。しかし、英語が好きな気持ちがあれば、それは十分な強みになります。

実際、入学時はそれほど英語が得意ではなかった人でも、留学を経験したり、さまざまな国の人々と交流したりする中で、着実に力を付けていった例がたくさんあります。大切なのは、得意・不得意ではなく、言語を学ぶことへの意欲です。

発表やディベートが多い

外国語学部では、発表やディベートを通じた学習の機会が豊富にあります。グループワークでのプレゼンテーションでは、仲間と共に課題に取り組み、時には夜遅くまで準備することもあります。1週間の中で複数の発表が設定されていることも珍しくありません。

実践的な学習を通じて、語学力の向上だけでなく、チームワークやコミュニケーション能力も磨かれます。グループでの活動が多いため、自然と仲間との絆も深まりやすいです。

海外留学やインターンシップの機会が多い

外国語学部では、語学力の向上と異文化理解を深めるため、海外での学習機会が数多く用意されています。大学によっては、1年次から短期の海外実習プログラムが開催され、2~3年次には長期留学のチャンスもあります。

海外の企業で実際に働く経験ができるインターンシップなど、語学力を実践で使える機会も充実しているのが特徴です。将来のキャリアに向けて貴重な経験を積めます。

外国語学部に属している主な学科

外国語学部に属している主な学科は、以下のとおりです。

  • 外国語学科
  • 英米学科
  • 中国学科
  • 国際関係学科
  • ヨーロッパ学科
  • アジア学科
  • ロシア学科
  • イスパニア学科
  • ドイツ語学科
  • フランス語学科
  • ポルトガル語学科

外国語学部では、英語だけでなく多様な言語や地域の専門性を深められる学科が設置されています。あなたの興味のある言語や、その言語が使われている国の文化、将来の留学先なども考慮しながら、じっくりと選んでみましょう。

各大学のオープンキャンパスで、実際の授業を体験してみるのもおすすめです。
>>逆引き大学辞典でオープンキャンパスの開催情報を調べてみる

オープンキャンパスについては、以下の記事で詳しく解説しています。

オープンキャンパスとは?参加のメリットや参加先の選び方を解説

外国語学部で取得を目指せる資格

外国語学部で取得を目指せる主な資格は、以下のとおりです。

  • 高等学校教諭1種免許状(英語)
  • 中学校教諭1種免許状(英語)
  • 日本語教員
  • 司書
  • 司書教諭

大学によっては、英語以外にも中国語やフランス語、イスパニア語などの教員免許を取得できます。将来、語学を活かした教育者として活躍したい、グローバルな環境で働きたいと考えている方は、外国語学部での学びが向いています。

外国語学部が向いている人

ウェブミーティングで外国語による会話する高校生

外国語学部が向いている人の特長は、以下のとおりです。

  • 特定の言語や文化を極めたい人
  • 英語以外の言語を身に付けたい人
  • コツコツ努力できる人

特定の言語や文化を極めたい人

外国語学部では、専攻する言語について、深い理解を目指します。単なる会話力の習得を目指すものではなく、その言語が使われている地域の文化や文学、芸術、メディアなどを多角的に学ぶのが特徴です。

言語を通して新たな文化や価値観に触れたい人や、特定の言語圏について専門的に学びたい人に向いている学部と言えます。

英語以外の言語を身に付けたい人

外国語学部では、フランス語やスペイン語、ドイツ語など、英語以外の言語を専門的に学べるのが特徴です。その国の言語を学ぶことで、現地の人々とより深いコミュニケーションが可能になり、ビジネスチャンスも広がります。また、異なる言語を学ぶことで、新しい視点や考え方に触れ、物事を多角的に見る力も身に付きます。

英語は国際共通語として広く使われていますが、数ある言語の一つに過ぎません。世界には数千もの言語があり、それぞれの言語には固有の文化や考え方があります。グローバル化が進む現代では、英語の重要性を認識しつつも、多様な言語や文化を理解し、受け入れる姿勢が求められています。

参照:なぜ英語以外の外国語を学ぶ必要があるの? |鹿児島大学

コツコツ努力できる人

言語の習得には、日々の積み重ねが重要です。外国語学部の1、2年生では、週に数回の小テストがあり、新しい単語や文法の習得に追われがちです。予習復習は欠かせず、授業でもネイティブスピーカーの先生の説明を理解するため、常に集中力が必要になります。

日々の学習を怠るとすぐに授業についていけなくなるため、しんどいと感じる人もいるようですが、地道な努力を続けることで、確実に語学力は向上します。外国語学部は、コツコツと学習を積み重ねられる人に向いている学部です。

外国語学部を設置している大学

外国語学部を設置している主な大学を国公立と私立に分けて紹介します。

【国公立】

【私立】

ほかにも外国語学部を設置している大学を知りたい人は、逆引き大学辞典を活用してみてください。外国語学部に設置されている学科名から大学の情報を調べられます。
>>逆引き大学辞典で「外国語学部」を設置している大学を検索してみる

外国語学部で行われている研究

外国語学部のゼミの様子

外国語学部では、どのような研究が行われているのでしょうか。例として、東京外国語大学で行われた研究「多言語社会台湾の日本語人ナラティブに見られる言語混用と日本語人フレーム調査の試み」について紹介します。

台湾には、日本語を使用する人々がいます。日本人と台湾人の国際結婚から生まれた子どもや、日本統治時代に日本語教育を受けた先住民の方々などです。この研究では、台湾で日本語を使う人々が、日常生活でどのように言語を使い分けているのかを調査しました。

調査の結果、台湾の地域社会でたくさんの友人を持ち、充実した生活を送っている人ほど、「日本語を話せる私」という意識にこだわらない傾向がありました。逆に言えば、現地での人間関係があまりうまくいっていない人の方が、日本語話者であることにこだわりを持つ傾向が見られたのです。

さらに、台湾とオーストラリアの日本語バイリンガルを比較したところ、その国での日本語の立場が言語使用に影響することも分かりました。日本文化の影響力が強く、日本語を使う機会が多い台湾では、日本語がより活発に使われていたのです。

この研究は、複数の言語が話される社会で、人々の言語選択の理由や、それが自分のルーツや所属意識とどう結びついているのかを明らかにしました。

ほかにも外国語学部で行われている研究を知りたい方は「スタビキ」を活用してみてください。各大学の外国語学部で行われている研究が分かるので、進路選びの参考になります。
>>スタビキで外国語学部の研究を見てみる

外国語学部の将来性

外国語学部は、グローバル化が進む現代社会において、将来性のある学部の一つです。SNSなどでは「就職に不利」「やめとけ」と書き込む人もいますが、それは語学力だけに頼っているからです。

確かに英語ができる人材は、今や他学部でも数多く存在します。しかし、外国語学部の強みは、その言語を母語とする人々の文化や考え方を深く理解できることです。そのため、海外で働くという選択肢も現実的な目標になります。卒業生の中には、ドイツの銀行で働いたり、フランスの企業で活躍したりする人もいます。

夢を実現するには、授業以外での積極的な行動が重要です。留学中は現地のイベントやボランティアに参加したり、先輩や先生方に具体的なアドバイスを求めたり、自分から機会を作り出す姿勢が大切です。語学力と実践経験の両方を積み重ねることで、将来の選択肢はさらに広がります。

参照:ドイツ語を学んだ先の未来|上智大学 外国語学部 ドイツ語学科

外国語学部の就職先

外国人旅行客に対応するホテルマン

外国語学部の主な就職先は、以下のとおりです。

  • 旅行業会
  • ホテル業界
  • 空運(空輸)業界
  • 通訳・翻訳
  • 教師

将来、英語を活かした仕事に就きたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

英語を活かせる仕事17選!必要な英語レベルや進路選びのコツも紹介

旅行業界

外国語学部で身に付けた語学力と異文化への理解は、旅行業界で大きな強みとなります。海外旅行の企画立案やツアーコーディネート、外国人観光客へのサービス提供など、語学力を活かせる場面が数多くあります。

【旅行業界の主な企業】

旅行業界については、以下の記事で詳しく解説しています。

旅行業界の魅力とは?ビジネスモデルや職種、おすすめの大学と学部学科を解説

ホテル業界

世界中からの観光客やビジネス客をもてなすホテル業界では、多言語でのコミュニケーション能力が必須です。それぞれの国の文化やマナーを理解していることも、質の高いサービスを提供するうえで重要になります。

【ホテル業界の主な企業】

ホテル業界については、以下の記事で詳しく解説しています。

ホテルや旅館業界の魅力はどんなところ?主な職種とおすすめの学部

空運(空輸)業界

空運(空輸)業界では、機内サービスや空港での国際線の搭乗手続き、手荷物の取り扱いなど、外国人のお客様と接する機会が多くあります。グローバルな環境で培った語学力とコミュニケーション能力を存分に発揮できる職場です。

【空運(空輸)の主な企業】

空運(空輸)業界については、以下の記事で詳しく解説しています。

空運(空輸)業界とは?主な企業や職種、大学の学部学科も紹介

通訳・翻訳

高度な語学力を活かせる代表的な職業として、通訳者や翻訳者があります。通訳者には二つの働き方があり、企業に所属する社内通訳と、個人で仕事を請け負うフリーランス通訳があります。一方、翻訳者は専門の翻訳会社に就職するケースが一般的です。
通訳になるには?翻訳者との違いや年収、目指せる大学の学部・学科を紹介
翻訳者(翻訳家)になるには?年収や必要な資格、目指せる大学の選び方

教師

外国語学部を卒業して、教師になる道もあります。学校の英語教師になるには、教職課程を履修し教員採用試験に合格する必要があります。海外で日本語を教える日本語教師も人気です。

教師以外にも、オンラインの家庭教師や英会話スクールの講師など、語学を活かした教育関連の仕事もあります。

日本語教師や英会話講師については、以下の記事で詳しく解説しています。
【2024年版】日本語教師になるには?国家資格の取得方法や目指せる大学

英会話業界とは?働く魅力や仕事内容、目指せる大学を紹介

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外国語学部の学生たち

外国語学部は、特定の言語や文化に特化して研究したい人に向いています。授業はオールイングリッシュで行われるのが一般的で、小テストが多いため、大変に感じることもあるでしょう。しかし、海外留学や留学生との交流など、語学を活かした楽しい経験がたくさん待っています。

外国語学部では、語学力に加えて文化や考え方の深い理解も身に付けられるため、将来は、海外で働くなどの選択肢もあります。実践的な経験と積極的な行動を重ねることで、活躍の場を広げましょう。

外国語学部を設置している大学を知りたい人は、逆引き大学辞典を活用してみてください。外国語学部に設置されている学科名から大学の情報を調べられるので、進路選びの参考になります。
>>逆引き大学辞典で「外国語学部」を設置している大学を検索してみる

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