司法書士の年収は?性別や就業形態別に解説|就職実績が大学も紹介
2024.02.06
最終更新日: 2025.11.20

「手に職をつけたいけれど、どんな仕事がいいかわからない…」そう悩んでいませんか?弁護士はハードルが高いと感じ、法律系の安定した専門職として司法書士に興味を持っているかもしれませんね。
将来の経済的な安定を考える上で、司法書士の年収はとても気になるところでしょう。この記事では、司法書士の年収の現実を解説します。就職して働くのと自分で事務所を開業するのとではどう違うのか、年収1000万円は目指せるのか、といった疑問に答えます。
具体的な収入データや、司法書士を目指せる大学も解説するので、将来の選択肢を広げるためのヒントを見つけてください。
目次
司法書士の平均年収・月収は?
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、司法書士の平均年収は765.3万円です。月収にすると63.8万円になります。「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、民間の平均年収は460万円なので、司法書士の年収は日本の平均年収より高めであることがわかります。
しかし、司法書士の平均年収765万円という数字には注意が必要です。司法書士には、司法書士事務所や企業等に勤務する「勤務司法書士」と、自分で事務所を開業する「独立司法書士」がいます。独立して成功した司法書士の中には年収1,000万円以上を稼ぐ人もいて、こうした高収入の人たちが全体の平均を大きく押し上げているからです。働き方による年収の違いについては後述しています。
【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/84
【参考】令和5年分民間給与実態統計調査
URL:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2023.htm
項目別|司法書士の平均年収

司法書士の平均年収について、以下の項目別に解説します。
- 男女別の平均年収
- 年齢別の平均年収
- 就業形態別の平均年収
- 勤務地別の平均年収
男女別の平均年収
司法書士は、性別による収入格差がほとんどない専門職です。男女を問わず、努力と実力次第で同水準の収入を得ることができます。司法書士の平均年収は765.3万円で、これを月収に換算すると約63.8万円になります。
司法書士は、女性も男性と同様に経済的な安定を見込める魅力的な仕事と言えるでしょう。
年齢別の平均年収
年齢別の司法書士の平均年収は、以下のとおりです。
| 年代 | 司法書士の平均年収 | 民間企業の平均年収 |
| 20歳~24歳 | 366.33万円 | 約267万円 |
| 25歳~29歳 | 371.85万円 | 約394万円 |
| 30歳~34歳 | 582.71万円 | 約431万円 |
| 35歳~39歳 | 819.41万円 | 約466万円 |
| 40歳~44歳 | 812.52万円 | 約501万円 |
| 45歳~49歳 | 889.28万円 | 約521万円 |
| 50歳~54歳 | 889.26万円 | 約540万円 |
| 55歳~59歳 | 712.84万円 | 約545万円 |
| 60歳~64歳 | 780.68万円 | 約445万円 |
| 65歳~69歳 | 676万円 | 約354万円 |
司法書士の年代別平均年収を見てみると、20代前半のうちは比較的低めです。ただ、「令和5年分民間給与実態統計調査」による民間の事業所の年齢階層別の平均給与と比較してみると、司法書士の平均年収のほうが上回っていることがわかります。さらに、20代後半からは大きな差をつけ、収入が上がっていきます。
基本的に、社会人になったばかりで経験の少ない20代は年収が低くなりやすいといえるでしょう。司法書士としてさまざまな実績をつくることで収入アップを目指していくことができます。
【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/84
【参考】令和5年分民間給与実態統計調査(p20)
URL:R05001.pdf
就業形態別の平均年収
司法書士の年収は、働き方によって大きく異なります。
勤務司法書士の場合、年収300万~600万円程度が最も多く、安定した収入が見込めるのが特徴です。一方、自分で事務所を開業する「独立開業司法書士」になると、年収1,000万円以上を稼ぐ人が4割を超え、中には数千万円を稼ぐ人もいます。しかし、独立開業にはリスクもあり、収入が不安定になる可能性があります。
まずは勤務司法書士として経験を積み、実力をつけてから独立開業を検討するのが一般的です。
参考:司法書士白書2021年版 第2回 司法書士全国調査|日本司法書士会連合会
勤務地別の平均年収
勤務地別の司法書士の平均年収は、以下のとおりです。
| 都道府県 | 平均年収 |
| 秋田県 | 624万円 |
| 宮城県 | 940.6万円 |
| 石川県 | 713万円 |
| 千葉県 | 869万円 |
| 東京都 | 934.4万円 |
| 神奈川県 | 509.9万円 |
| 新潟県 | 431.4万円 |
| 愛知県 | 610.6万円 |
| 滋賀県 | 572.9万円 |
| 京都府 | 779.8万円 |
| 大阪府 | 782.5万円 |
| 兵庫県 | 411.1万円 |
| 山口県 | 890万円 |
| 愛媛県 | 616.5万円 |
| 沖縄県 | 504.9万円 |
このように、司法書士の平均年収は働く地域によっても変わってきます。勤務先によって得られる収入は違うのであくまでも目安ですが、一般的に司法書士の収入は都市部に近いほうが上がりやすいといわれています。
人の多い都市部のほうが依頼も多く、収入が増えやすいといえるでしょう。就職先を探すときは、エリアごとの平均年収の違いにも着目してみることがおすすめです。
【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/84
司法書士の仕事内容
一般的に、司法書士事務所では依頼してきたお客様に代わって書類を作ったり、法務局や裁判所などで手続きをしたりといった仕事があります。代表的な仕事の一つが「登記」に関する手続きの代理で、これは司法書士にしか行うことができません。
登記とは、簡単にいうと法務局の登記簿に登録をすることです。たとえば、家を買うときには「不動産登記」をすることで、家の持ち主は誰なのかをはっきりとさせることができます。登記のための手続きでは法律にのっとった正確な書類を作り、手続きしなくてはいけません。こういったときに司法書士の持つ専門知識を活かすことができるのです。
また、民間企業のなかには法律や司法に関する仕事を行う「法務」の担当者を募集していることがあります。そういった仕事では、司法書士の資格を持っている人が有利になることも。法務担当者の仕事について知りたいときは、ぜひこちらも見てみてくださいね。
司法書士になるには?

司法書士になるには、国家資格である司法書士試験に合格することが必要です。この試験には学歴による制限がないため、高校を卒業してからすぐに受験することもできます。
しかし、司法書士試験の合格率は例年3〜4%と非常に低く、難関資格として知られています。そのため、大学や専門学校で法律の専門知識を学んでから試験に臨むのが一般的なルートです。特に法学部では、民法や商法など司法書士の業務に直結する科目を集中的に学べるので、試験対策においても有利です。
司法書士を目指せる大学・学部
司法書士を目指すなら、法学部への進学を視野に入れましょう。法学部のある大学の一例は、以下のとおりです。
【国公立】
【私立】
法学部については、以下の記事で詳しく解説しています。
法学部ではなにを学べる?主な学科の種類と卒業後の進路について
司法書士試験について
司法書士になるには、国家資格である司法書士試験に合格する必要があります。司法書士試験は年齢や学歴に関係なく誰でも受験できますが、合格率は例年3~4%と非常に難しい試験です。
令和6年度の試験では、受験者13,960人に対して合格者はわずか737人、合格率は約5.3%でした。
試験は、筆記試験と、それに合格した人だけが受けられる口述試験(面接のようなもの)の2段階で構成されています。筆記試験では、法律の知識を問う問題が中心となります。
合格後は、司法書士会が主催する研修を受け、名簿に登録すれば司法書士として働くことができます。
司法書士の就職実績がある大学

司法書士試験の受験資格に学歴は関係ありませんが、合格するためには法律の専門知識が必要です。この試験はかなりの難関であることも有名で、何年にもわたって受験勉強を続けることが珍しくありません。司法書士になることを考えている場合は、大学の法学部などで専門的な勉強をすることもおすすめです。ただ、「どんな大学を選べばいいのかイメージがわかない」という人も多いでしょう。こちらでは、司法書士の就職実績がある大学の法学部をいくつかご紹介します。進路をイメージするときの参考にしてみてくださいね。
中央大学
司法書士を目指す人には、中央大学のなかでも東京都文京区にキャンパスを構えている法学部がおすすめです。法学部には「法律学科」「政治学科」「国際企業関係法学科」などの学科があります。このうち法律の専門家である司法書士を目指すなら法律学科がおすすめ。法律の知識はもちろん、専門家に求められる思考力やコミュニケーション能力を養うカリキュラムが用意されています。なかでも「企業コース」は、司法書士をはじめとした法律の専門家として民間企業への就職を目指す人向けのコースです。
早稲田大学
早稲田大学は東京都新宿区にある大学です。法学部では少人数教育による学びを実践しており、4年間にわたってしっかりと指導を受けられることが魅力の一つ。法学部の履修モデルには「司法・法律専門職」「企業・渉外法務」「国際・公共政策」などがあり、司法書士を目指すなら「司法・法律専門職」を選びましょう。また、早稲田大学には法律系のサークルも少なくありません。同じ法律系の進路を目指す仲間と交流できる法学部公認サークルがあり、学べる環境が充実しているのが魅力です。
明治大学
明治大学法学部のキャンパスは、東京都千代田区や杉並区にあります。明治大学のルーツは1881年設立の明治法律学校で、長年にわたって法律の教育を行ってきた歴史があります。自分が専門的に学びたい分野に合わせ、2年次からは5つのコースに分かれて学べることが特徴。司法書士を目指すなら、民間企業などビジネスで広く活躍を目指す「ビジネスローコース」がおすすめです。法律の知識はもちろん、企業経営や経営活動にまつわる法的なリテラシーを養えます。
法政大学
法政大学法学部のキャンパスは東京都千代田区にあります。1880年創設の「東京法学社」が源流です。伝統を守りながら時代の流れに合わせたカリキュラムを組んでいることも特徴で、現代社会が直面している問題についても法律の面から取り組んでいくことができます。法学部には「法律学科」「政治学科」「国際政治学科」などの学科があり、司法書士を目指すなら法律の基礎から応用まで系統的に学べるカリキュラムが用意されている「法律学科」が適しています。
青山学院大学
青山学院大学法学部のキャンパスは東京都の渋谷区にあります。法学部には「法学科」と「ヒューマンライツ学科」の2学科がありますが、司法書士を目指すなら法律の知識と思考の技術を習得できる「法学科」がおすすめです。法学科の専門科目では、ビジネスシーンで役立つ商取引法・保険法・金融商品取引法なども広く扱います。司法書士をはじめとした、民間企業と連携する法律の専門家に求められる広い素養を身につけられるでしょう。
慶應義塾大学
慶應義塾大学法学部のキャンパスは、神奈川県横浜市や東京都港区にあります。法学部は、法律を専門とする「法律学科」と、政治を専門とする「政治学科」の大きく2つに分かれています。司法書士をはじめとした法律の専門職を目指すなら、「法律学科」を選ぶと良いでしょう。法律学科には、司法や行政の現場はもちろん、ビジネスの現場で必要とされるスキルを育てることも目標としています。履修の自由度が高いので、卒業後の進路に合わせて司法書士の仕事に適した学習プランを自分で作れます。
同志社大学
同志社大学法学部のキャンパスは京都府京都市にあります。法学部には「法律学科」「政治学科」があり、このうち「法律学科」は司法書士をはじめとした法律の専門家を育成する学科です。法律の知識のみに留まらず、ビジネスの場面で論理的に人を説得するスキルなど、専門家に必要な力を身につけられます。キャリアに直結する学びができる履修モデルを採用しており、企業の法務部門で即戦力を目指すインターンシップ制度「リーガル・フィールドワーク」も用意されています。
司法書士に関するよくある質問

司法書士に関するよくある質問をまとめました。
司法書士と行政書士はどちらが年収が高い?
厚生労働省によると、司法書士の平均年収は765.3万円、行政書士の平均年収は591万円で、司法書士のほうが年収が高い傾向にあります。
独立開業せずに就職した場合の司法書士の年収は?
勤務司法書士の場合、平均年収は300~600万円程度です。
勤務司法書士のもっとも多い年収帯は「300万円~400万円未満」次いで「400万円~500万円未満」、「500万円~600万円未満」の順となっています。
参考:司法書士白書2021年版 第2回 司法書士全国調査|日本司法書士会連合会
士業の年収ランキングは?
厚生労働省の情報を参考に、8士業の年収をまとめました。
ただし、このなかには勤務司法書士と独立司法書士が含まれているのであくまでも目安としてください。
司法書士のキャリアアップや年収を上げる方法

司法書士として就職した後は、どんな方法でキャリアアップしていくことができるのでしょうか。ここでは、司法書士のキャリアアップや年収を上げる方法についてご紹介します。
司法書士のキャリアアップの方法
司法書士には自分で事務所を開業している人も多いとされますが、資格を取ったばかりでいきなり独立することは難しいもの。そのため、まずは司法書士事務所や法務担当者を募集している企業で働き、経験を積むケースが少なくありません。就職してから実績を積んでスキルを磨き、上の役職を目指すことでキャリアアップにつながることがあります。
また、「認定司法書士」という資格を取り、仕事の幅を広げることでもキャリアアップにつなげられることがあります。司法書士と認定司法書士の違いは、扱える仕事の範囲です。特に「簡易裁判所で扱う請求額140万円以下の民事事件」であれば、司法書士が代理人として出廷できるようになることが大きな違いとなります。通常であれば裁判の代理人になれるのは弁護士ですが、認定司法書士になれば特定の条件の裁判で代理人になることができるのです。認定司法書士になるためには特別研修を受けた上で考査を受け、合格する必要があります。認定を受けるのは大変ですが、司法書士としてのキャリアアップを目指すときは検討してみることがおすすめです。
このほかにも、司法書士と相性の良い資格として「土地家屋調査士」が挙げられます。土地家屋調査士とは、不動産登記を扱う専門職のこと。司法書士の資格と併せて取得すると、家を建てるために必要な一連の手続きを担えるようになります。ダブルライセンスでキャリアアップを狙うなら、土地家屋調査士の資格も視野に入れてみましょう。
司法書士として年収を上げる方法
上記のような「認定司法書士」のような資格を取ってできることが増えたら、より多くのお客様からの相談に対応できるようになります。さまざまな仕事ができるようになることで、収入アップを目指せるでしょう。
ほかにも、就職先によってさまざまな方法で年収を上げることができます。たとえば、たくさんの司法書士を抱える司法書士事務所の場合、チームをまとめるリーダーとしての役職が設けられていることがあります。そういった役職に就くと責任ある仕事が増える分、給料が高くなるケースがあるでしょう。
より給与の高い職場を探して転職することも選択肢の一つです。司法書士事務所や一般企業のほか、法律事務所や合同事務所などでも司法書士の募集が行われていることもあります。法律事務所は弁護士が経営する事務所で、合同事務所は社会保険労務士や税理士といった、ほかの士業の資格を持つ人も集まる事務所です。
また、独立開業して経営を成功させることができれば、さらに高い年収を得られることも期待できます。もちろん、事務所の開業や経営は簡単ではありません。どうやって資金を集めるのか、集客するのかといったことを考え、実行していくことが求められます。多くの努力が必要ですが、経営が順調にいけば多くの収入を得ることができるでしょう。
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司法書士は高い年収を期待できる仕事の一つです。資格を取るためには難関となる国家試験を受け、合格しなければいけません。そのためには大学で法律の専門知識を身につけることもおすすめです。
司法書士を目指せる大学に興味があるなら、ぜひ「JOB-BIKI」を使ってみてください。たとえば、就職先検索で「司法書士」と入力して検索すると、さまざまな司法書士法人や、そこへ就職した方の出身大学について調べることができます。人物検索で「司法書士」と入力して調べると、著名な司法書士の出身大学を知ることができますよ。

