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国際学部とは?外国語学部との違いや就職先、向いている人を解説

2025.05.21

カテゴリー:
交流する国際学部の学生たち

「国際学部では、どんなことを学ぶの?」「卒業後の進路は?」と疑問に思っている人もいるでしょう。

具体的な学習内容を理解せずに学部選びをすると、入学後に「思っていた内容と違う」とギャップに悩むことになりかねません。卒業後のキャリアパスについても、ある程度見通しを立てておくことで、大学生活を有意義に過ごし、目標達成へ効果的に準備できます。

この記事では、国際学部の学びの特徴や主な就職先について詳しく解説します。記事を読めば、国際学部の特徴や学びの内容を把握し、自分の興味や適性に合うか確認可能です。自分の将来像とマッチするかどうかの判断材料として、ぜひ参考にしてください。

国際学部とは、世界の文化や社会を幅広く学びながら国際的な課題に取り組む力を養う学部です。卒業後の進路としては、国際機関や外務省などの外交分野、グローバル展開する商社や企業など、国際的な舞台で活躍できる多様なキャリアが開けています。

国際学部とは

いろいろな国の文化を理解しながら、世界の問題に取り組む将来像

国際学部とは、いろいろな国の文化を理解しながら、世界の問題に取り組む学部です。世界の政治・経済・法律・言語・歴史などを幅広く学び、国際的な課題をさまざまな視点から考える力を身に付けます。

外国語の習得も国際学部の大きな特徴です。とくに世界共通語である英語の運用能力を高めることは、国際社会で活躍するための基盤です。ただ単に文法を学ぶだけでなく、異なる文化背景を持つ人々に「伝わる英語」を身に付け、多様な環境で活躍できる力を養います。

卒業後は、国際機関や外交官、入国審査官、商社や貿易業など、世界を舞台にさまざまな分野で活躍できます。

国際学部と外国語学部の違い

国際学部と外国語学部は混同されがちですが、両学部は目指す方向性や学ぶ内容が異なります。国際学部と外国語学部の違いは、以下のとおりです。

【国際学部と外国語学部の違い】

学部学びの目的向いている人
国際学部国際学の研究・世界の国や地域の問題解決について学びたい人
・さまざまな国を比較する研究をしたい人
外国語学部外国語の習得・特定の言語や文化に特化して研究したい人
・英語以外の言語を身に付けたい人

外国語学部は言語習得に重点を置き、国際学部は世界の諸問題の研究に焦点を当てているのが大きな違いです。自分が「言語そのものを深く学びたい」のか、それとも「言語を道具として国際問題を考えたい」のかを明確にすると、進路を選びやすいでしょう。

外国語学部については、以下の記事で詳しく解説しています。


国際学部の主な就職先

外交官がいる日本大使館

国際学部の主な就職先は、以下のとおりです。

  • 国際公務員
  • 外交官
  • 入国審査官
  • 商社 
  • 貿易業
  • 運輸・航空業

いずれも国際学部で身に付けた知識や異文化理解力、語学力を直接活かせる仕事です。グローバルな視点と専門知識を組み合わせることで、国際社会のさまざまな分野で活躍できます。

国際公務員

国際公務員とは、国際連合や国連の組織、国際機関で働く職員のことです。世界の平和維持や人道支援、国際開発などの重要な仕事をしています。

国際学部で学ぶ国際関係論や地域研究で得た知識は、国際問題の解決策を考えるときに活かせるでしょう。国際学部で身に付けた異なる文化を理解する力や外国語を話す力は、世界中から集まる同僚とスムーズに協力して仕事を進めるのに役立ちます。

国際公務員については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
国際公務員になるには?仕事内容や受験すべき試験をご紹介

外交官

外交官は海外の日本大使館や総領事館で勤務し、国際社会における日本の利益を守る重要な役割を担っています。

国際学部で学んだ世界政治や国際関係の知識があると、他国の考えや行動を深く理解することが可能です。これにより、日本と相手国の両方にとって良い関係を築く方法を考え出せます。

外交官については、以下の記事で詳しく解説しています。
外交官(外務公務員)になるには?外交官の仕事の内容ややりがい、気になる年収や必要な資格を解説

入国審査官

入国審査官は、空港や港で外国人の入国審査を行う職業です。国際学部で学んだ異文化理解の知識は、さまざまな国籍の人々と適切にコミュニケーションをとる際に役立ちます。また語学力や国際法の知識を活かして、安全で公正な出入国管理が可能です。

入国審査官の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
入国審査官になるには?仕事内容や受験すべき試験をご紹介

商社

商社では、国際学部で身に付けた語学力を活かし、海外企業との交渉や商品の売買を行います。異文化理解のスキルは、各国の取引先との効果的なコミュニケーションに役立ち、信頼関係の構築につながります。

また、国際政治・経済の知識は、海外市場の動向分析や新規事業開発に欠かせません。商社には、特定の分野を扱う専門商社と幅広い商品やサービスを扱う総合商社があります。それぞれの詳細については、以下の記事をご覧ください。

総合商社とは?事業内容や主な企業、大学で学ぶとよいことを解説

専門商社ではどのような仕事をする?目指す人におすすめの学部

貿易業

貿易業は、国際間の商品売買を扱う仕事です。国際学部で学んだ国際貿易学や国際関係学の知識は、輸出入の規則や手続きを理解し、円滑な取引を実現するのに役立ちます。

また、語学力を活かして海外取引先とのメールや国際電話での交渉を行い、文化的背景の違いから生じるトラブルにも適切に対応可能です。

貿易業の中でも、書類作成や手続きを担当するのが貿易事務です。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

貿易事務とは?仕事内容や年収、役立つ資格、目指せる大学の学部も紹介

運輸・航空業

運輸・航空業には、パイロットや客室乗務員だけでなく、貨物・物流担当や路線計画職、航空管制官、整備士などさまざまな職種があります。

運輸・航空業では、国際学部で培った語学力と異文化コミュニケーション能力を活かして、世界各国からの利用客に対応できます。さまざまな文化的背景を持つ旅行客のニーズを理解し、離着陸や荷物のトラブル発生時にも適切な対応が可能です。

空運(空輸)業界については、以下の記事でも詳しく解説しています。
空運(空輸)業界とは?主な企業や職種、大学の学部学科も紹介

国際学部に向いている人の特徴

異なる文化的背景を持つ学生同士が明るい教室で会話を交わす様子

国際学部に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 世界の国や地域の問題解決について学びたい人
  • 海外の文化や人が好きな人
  • 行動力のある人

それぞれ解説します。

世界の国や地域の問題解決について学びたい人

国際学部は世界の問題解決に関心のある人に最適な学びの場です。国際学部では世界の政治・経済・法律・歴史を幅広く学び、グローバルな視点を養えるからです。グローバルな視点は、世界の複雑な問題に取り組む上で大きな強みとなります。

環境問題や貧困、紛争などの国境を越えた課題には、一国の視点だけでなく、各国の事情や文化的背景を総合的に理解する力が求められます。複雑な国際社会の課題に対して、実践的な解決策を考える力を身に付けたい人にとって、国際学部は理想的な学びの場と言えるでしょう。

海外の文化や人が好きな人

海外の文化や人が好きな人は、国際学部での学びを最大限に活かせます。異なる生活習慣や価値観に対して柔軟な姿勢を持つ人は、国際学部での授業内容に自然と興味をもてるでしょう。

国際学部では、留学生との交流機会や国際イベントが豊富にあるため、さまざまな国籍の人とのコミュニケーションを楽しめる人も国際学部に向いています。

行動力のある人

行動力のある人は国際学部に向いています。フィールドワークや留学などの機会を最大限に活用できるからです。教室で学んだ知識を実社会で応用する経験を積むことで、実践的な課題解決能力を高められます。

また、さまざまな国や文化的背景を持つ人々との関係構築には、自分から積極的に話しかけ交流する姿勢が不可欠です。主体性があれば、国際イベントやプロジェクトへの参加、インターンシップなど、カリキュラム外の学習機会も自ら見つけ出し、国際的な視野と人脈を広げることが可能です。

国際学部を設置している大学

留学生を含む異なる文化的背景を持つ女子学生たちが明るい校舎内で楽しそうに会話する様子

国際学部を設置している大学を国公立と私立に分けて紹介します。

【国公立】

【私立】

ほかにも国際学部を設置している大学を知りたい人は、逆引き大学辞典の「系統別学問内容リサーチ」を活用してみてください。

国際学部を設置している大学がわかるので、進路選びの参考になります。
>>国際学部のある大学を見てみる

国際学部に属している主な学科

国際学部に属している主な学科と特徴は、以下のとおりです。

学科名特徴
国際学科・国際関係学科国際政治や国際経済、国際法など政策面に重点を置いた学び
国際文化学科異文化理解や比較文化研究などに焦点を当て、文化的側面からの国際交流を探究
国際観光学科観光産業の国際的側面を学び、グローバルな観光ビジネスや地域活性化について研究
国際教養学科幅広い教養と複数の分野を横断的に学ぶ総合的な学び
国際コミュニケーション学科言語や異文化コミュニケーションに重点を置いた学び

上記の学科以外にも、大学によってさまざまな特色ある学科が設置されています。自分の関心に合った学科を見つけるために、複数の大学情報を比較検討することをおすすめします。

国際学部で取得できる資格

国際学部では、主に以下の資格を取得可能です。

大学によって取得できる資格は異なるため、パンフレットや公式ホームページで確認してみてください。

国際学部で行われている研究

国際学部では、どのような研究が行われているのでしょうか。例として、日本大学で行われた「人種の壁を越えたアジア系アメリカ人の実態についての研究」について紹介します。

アメリカには、さまざまな背景を持つアジア系の人々が暮らしています。中国系や韓国系、日本系、フィリピン系など多様なルーツを持つ人々です。この研究では、アジア系アメリカ人の居住環境に焦点を当て、住宅保有率や過密住宅といった観点から実態を調査しました。

調査結果によると、アジア系アメリカ人は全体としては住宅保有率が高い傾向がありますが、一方でヒスパニック系と同様に「過密住宅」(一定の広さに多くの人が住む状態)の割合も高いことが明らかになりました。

また、移民と米国生まれの市民を比較すると、両者の間で居住環境に大きな違いが見られます。この研究は、「アジア系」というひとくくりにされがちなグループ内の多様性を浮き彫りにしたと言えるでしょう。

このような研究は、多文化社会アメリカにおける人種・民族の複雑なあり方を理解する手がかりとなっています。

国際学部に関するよくある質問

国際学部に興味のある高校生がインド人と料理を作る様子

国際学部に関するよくある質問として、以下の3つを解説します。

  • 国際学部に進学するメリットは?
  • 国際学部は英語が得意でなくても大丈夫ですか?
  • 国際学部は留学が必須ですか?

国際学部に進学するメリットは?

国際学部に進学すると、分野の垣根を越えた総合的な視点と実践的スキルを身に付けられます。語学力だけでなく、国際政治や経済・文化など複数の分野にまたがる幅広い知識を体系的に学べるため、グローバルな視点で問題を分析する力が養われます。

さらに、フィールドワークや留学プログラムなど、実社会での経験を積む機会が豊富なため、教室での学びだけでは得られない生きた国際感覚が身に付くのも特徴です。国際学部で身に付けた知識や経験は、国際機関や外交、国際ビジネスなど多様なキャリアに対応できる貴重な財産です。

国際学部は英語が得意でなくても大丈夫ですか?

国際学部は英語が得意でなくても進学可能です。「好き」「興味がある」という気持ちと学ぶ意欲があれば、入学後に英語力を伸ばせるからです。

多くの国際学部では英語だけでなく、中国語や韓国語、スペイン語など、複数の外国語から選択して学べるため、自分に合った言語でグローバルな視野を広げられます。大切なのは語学力よりも、国際問題や異文化への関心と理解しようとする姿勢です。

語学はあくまでコミュニケーションのためのツールであり、何より国際的な課題に取り組む意欲が重要です。

国際学部は留学が必須ですか?

国際学部での留学は大学によって扱いが異なります。一部の大学では卒業要件として留学を義務付けている場合があるため、志望校の履修要件を事前によく調べておくことが大切です。

また、留学にかかる費用や奨学金制度についても、大学によって支援内容が大きく異なります。学費負担を軽減できる交換留学制度や提携校割引、独自の奨学金制度を設けている大学もあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。

入学前に留学が必須か任意かという点だけでなく、経済的な支援体制についても十分に調査しておくことが国際学部選びでは重要です。

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将来を見据える国際学部志望の女子高校生が英語教師と廊下で話す様子

国際学部は、さまざまな国の文化を理解しながら、世界の問題に取り組む学部です。世界の政治や経済・法律・言語・歴史などを幅広く学び、国際的な課題を多角的な視点から考える力を養います。外国語の習得も重視され、多様な文化環境で活躍できる能力が身に付きます。

フィールドワークや留学プログラムを通じて実社会での経験を積む機会も豊富に用意されているのが特徴です。卒業後は国際機関や外交官、入国審査官、商社や貿易業など、世界を舞台に多様なキャリアパスが開かれています。世界の問題解決に関心がある人や異文化が好きな人に向いている学部です。

国際学部を設置している大学を知りたい人は、逆引き大学辞典の「系統別学問内容リサーチ」を活用してみてください。国際学部を設置している大学がわかるので、進路選びの参考になるでしょう。

>>国際学部のある大学を見てみる

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